本日、近未來通信事件のナンバー3建石春雄被告に対し懲役4年の実刑判決が出されました。
本日、近未來通信事件のナンバー3であり、当時、同社の常務取締役であった建石春雄被告に対して、詐欺により、懲役4年の実刑判決が出されました。
緊急に、僕が弁護団長をつとめる近未来通信被害対策弁護団の声明を出しました。
声 明
2010年12月27日
近未來通信被害対策弁護団
弁護団長 紀藤正樹
本日、近未來通信事件のナンバー3であり、当時、同社の常務取締役であった建石春雄被告に対して、詐欺により、懲役4年の実刑判決が出された。
組織的詐欺により立件されなかったこともあって、求刑(6年)自体が低い本件事件に関し、これをさらに下回るもので、到底納得できるものではない。
そもそも建石春雄被告は、法廷では、詐欺の事実を否認し、被害者らに対し、具体的かつ直接の謝罪は一切ないばかりか、一切の賠償もしていない。
破産管財手続においても、2006年に起きた事件にもかかわらず、いまだに配当はなされず、石井優容疑者の破産手続きとの関係で今年中に行われる見込みとなっている配当も、その割合が、被害額の約0.1パーセントにしか過ぎない状態にある。
被害者らは、近未來通信という法人に財産と呼べるべきものが残されておらず、現状、被告人らからも、まったくの被害賠償がなされないことについて、悲嘆と途方に暮れている状態にある。
建石春雄被告は、本件被害の深刻な実情に真摯に目を向け、直ちに被害者に謝罪するとともに賠償に応じるべきである。
このような被害者の置かれた悲惨な状況は、近未來通信事件を主導した首謀者であり、かつ当時の代表取締役社長であった、石井優容疑者が、2006年11月17日付で出国し、億単位の金銭とともに、現在でも、行方不明であることも、大きな原因である。
この石井優容疑者の逃亡劇が、結果的に、組織的詐欺への立件を難しくし、ひいては、大規模消費者被害事件においては、異例のわずか2人の起訴という結果を生んで本件の真相を曖昧にし、被害者らへの賠償を異常に低位にした。
被害者にとっては、犯罪が法により厳正に処罰されること、そして被害の賠償が十分になされることの、二つが車の両輪として重要であるが、石井優容疑者の逃亡は、捜査機関、司法機関、行政、そして何よりも被害者を、まさにあざ笑うものである。
石井優容疑者の逃亡は、警察が捜査に入った同年12月4日の直前、総務大臣による平成18年10月27日付の報告徴求の後に起きた。すなわち石井優容疑者の逃亡は、総務大臣の行政処分の実効性の不備と警察の捜査の遅れという、行政の瑕疵に由来することが明らかである。
実際、近未來通信事件が起きた後も、L&G事件、ワールドオーシャンファーム事件、岡本倶楽部事件といった詐欺被害が後を絶たない。これは、詐欺犯罪がまさに、やり得を生んでいるからであって、違法収益吐き出し法制の早期制定など、抜本的な法改正と対策が必要である。
近未來通信事件は、まさに、大型詐欺事案でやり得を許した典型的な事件であり、このまま石井優容疑者が逮捕されない結果となることは、到底、許されるべきではない。
当弁護団は、本年7月23日付で近未來通信事件ナンバー2であり、同社専務取締役であった日置茂被告の有罪判決(実刑5年)が出された同日、石井優容疑者の逮捕につながる情報の提供者に対し、10万元(日本円で130万円相当、但しドル建ての場合1万ドル相当)の懸賞金を支払うことにした。
現在、和文、英文、中文、インドネシア文それぞれで公開している。
被害者のためにも、また新たな被害者を出さないためにも、早期に、同人が、逮捕されることを深く望むものである。
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