ショーンK事件から考える「肩書詐欺事件」のまとめと整理
経歴詐称問題で、自称、経営コンサルタントの「ショーンK」ことショーン・マクアードル川上氏こと川上伸一郎(47)という人物が、話題になっています。
この問題で、僕は、週刊文春の一報が報じられた3月15日から、今日まで3度にわたり、僕の公式SNS(フェイスブックとツイッターの双方)にコメントを入れています。⇒以下の[参考]を参照。
念のため、ショーンK事件(もはや事件でしょう。)から考える経歴詐称などの肩書詐欺について、もう少し詳しく、ブログ上で、整理しておきたいと思います。
経歴詐称、肩書詐欺は、経歴の誇張までも含めると、悪徳商法の被害救済の問題をやっていると、「詐欺師の飾り」といってもよいくらい、本当に、しょちゅう見かけます。
カルト問題でも同様です。
日本で、長年、信者を駆使して霊感商法を組織的に行ってきた統一教会(現平和統一家庭連合)の教祖の文鮮明なんて、まさに経歴の詐称に満ち満ちています。
ところが、肩書詐欺で、詐欺罪が成立するのか、という問題は、意外と難しく、過去、肩書詐欺の摘発をしたケースは、そんなにありません。
結婚詐欺も、「パイロット」とは「一流企業の社員」「社長」とかといった、肩書詐欺が関係してきますが、「結婚する気がないのに結婚する」と称して、お金を騙し取ったという点が、より詐欺罪の成立にとって重要となります。
肩書は、結婚したいという願望の後押しにしかなっておらず、重要なのは、「結婚する意思がない」のにこれを偽って「結婚しよう」と嘘をつくことにあります。
ですから実際に結婚してしまえば、肩書詐欺だけで、結婚詐欺に問うことは難しいと思います。
実は、「詐欺罪における詐欺行為」とは、全ての偽り行為を言うのではく、「取引の相手方が真実を知っていれば財産的処分行為を行わないような重要な事実を偽ること」(たとえば西田典之『法律学講座双書刑法各論第六版』(弘文堂)193頁)であるとされています。
すなわち詐欺事実の対象は、お金を出すという意思の成立過程において「重要な事実」であることが必要です。
この点で、過去、肩書詐欺事件として有名な事件として、有栖川宮詐欺事件が有名です。
事件は、2003年(平成15年)4月に発覚した詐欺事件で、2006年9月11日、東京地裁で、2年2月の実刑判決が下されています。
参考⇒東京地方裁判所判決/平成15年(刑わ)第4146号=(判例タイムズ1258号318頁)
元皇族である有栖川宮と偽り、偽の結婚披露宴を開催、招待客から祝儀等を騙し取った、という事件です。
この事件では、元皇族という事実がなければ、祝儀と言うお金を出すことはあり得ない、ということが、前提にあります。
wikiより⇒ 有栖川宮詐欺事件
ですから、僕は、SNS上のコメントとして、の「ショーンK」氏の経歴詐称全般ではなく、「『MBA取得の方法』なんて講演していたら講演料の詐欺も成立するのではないか」と、事案を限定してコメントしているわけです。
MBA取得をしているという人物だからこそ、参加者は、講演料を出すのではないかと思うからです。
つまりこの場合、MBA取得は、「重要な事実」と言えると思います。
なお刑法上の詐欺罪の成立には、故意が必要ですから、ご自身に、経歴詐称の認識が必要ですが、この点は、この特定の事案において、「MBA取得の方法」なんて講演をした人物が、自らのその経歴の詐称に気づかなかったという言い訳は、全く通らないのではないか、と思います。
もちろ詐欺には、被害者の存在が当然に必要です。
はたして、「ショーンK」事件は、マスコミの多くまで騙されたという番組降板程度の事件で終わるのか(これはこれで大問題ですが)、あるいは、肩書詐欺として、刑事事件にまで発展していくのか、そこまでいかなくても故意だけでなく過失でも責任が問われる民事上の損害賠償事件に発展していくのか(民事事件であれば、レギュラー番組を持っていたテレビ局やラジオ局も、損害賠償請求ができるのではないかと思われます。)、非常に、気になる事件となっています。
そして肩書詐欺事件にまで発展していくことがあれば、それはそれで、悪徳商法やカルト問題などの解決にとっても、大きく参考になる事件です。
[参考]
□僕のSNSコメント
1 2016年3月15日 17:45
言わばフランスの”東大”留学と米国の”東大”のMBA取得に関し間違えるなんてありえない。一番重要な経歴ではないか!本当にチェックミスだとしても事実を報道する側としてあまりに致命的なミス>ショーン・マクアードル川上氏(47)「ホームページは知らないうちに間違った文章が載っていた」ショーン・マクアードル川上氏(47)に学歴詐称疑惑が浮上=「パンテオンソルボンヌ(パリ第1大学)には入っていない。オープンキャンパスの中で聴講した」「ハーバード・ビジネス・スクールには、オープンコースの3日くらいのコースに1回行った」などと回答。
=第一報=週刊文春 3月15日(火)16時1分配信
⇒フジ“新ニュースの顔”ショーンKに学歴詐称疑惑 (週刊文春) - Yahoo!ニュース.
降板は当然! 経歴詐称のレベルを超えている! 「MBA取得の方法」なんて講演していたら講演料の詐欺も成立するのではないか>ショーンさんが報道ステーション降板、活動自粛表明 週刊文春の“学歴詐称”報道受け誤り認める(産経新聞)⇒ショーンさんが報道ステーション降板、活動自粛表明 週刊文春の“学歴詐称”報道受け誤り認める (産経新聞) - Yahoo!ニュース=産経新聞 3月15日(火)23時51分配信
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なんと僕のフェイスブック=ツイッターコメントが今日のひるおびに取り上げられた。ギャラくれるのかな?
少し補足すると、肩書詐欺事件では、有栖川宮詐欺事件が有名。
事件は、2003年(平成15年)4月に東京で発生した詐欺事件で、2年2月の実刑判決が下されている。
wikiより⇒ 有栖川宮詐欺事件
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■ショーンKさんのお詫び=本日2016/03/17現在は見れなくなっているので、以下はログ=web魚拓
お知らせ 2016.3.152016年3月24日発売の週刊文春に「ショーンKの嘘」という記事が掲載されています。
この記事を拝読された方には、ご心配をおかけしていると思います。この場を借りてお詫び申し上げます。
これまで私は、経営コンサルタントとして活動している上で、特に自分の学歴について影響がなかったため、正式に公開することはしてきませんでした。
しかし、この記事で、私のホームページ上の「英文」履歴書末尾に一定期間記載されていた内容に間違いがあり(責任の一端は私にあるのですが)本情報が各方面に引用されることで各関係者様に大変な誤解とご迷惑をおかけしておりました。
私は、テンプル大学ジャパンに入学後まもなく、外部の人間にもオープンな大学講義を聴講するなど海外を遊学後、大学には戻りませんでした。本格的な就職先としては日本のコンサルティング会社に入り、業務を行っていました。経営大学院についても学生、一般社会人にも公開されているセミナーを聴講した程度ですので、学士を含め学位、また修了書が発行される類のプログラムへの参加は一切ございません。
自分で独立してコンサルティング業務を行うようになったのは、1995年頃です。私が主宰するブラッドストーン・マネジメント・イニシアティブ・リミテッドは2002年に設立ですが、その前からコンサルタント業務を行い、いわゆる法人成りしています。
今回文春の記事の発端になったのは、会社のホームページの記載です。これについては、コンサルタント業務では、ホームページから顧客が集まるということがほとんどないので、急ごしらえのβ版のまま、長い期間、誤りが存在するまま放置されてしまいました。この放置の責任は、私にあり、このような記事が掲載される端緒を作ってしまいました。皆様にご心配をおかけして大変申し訳ありません。
ただ、文春の記事のなかで、私がコンサルタント業務を行っていないかのような記載は誤りです。アメリカで納税申告をしていないことについても、日本でコンサルタント業務を行っていることから日本で納税しているからに過ぎません。また、クライアントについても、コンサルタント業務は、直接契約ではなく、下請的に分野を限定して行うことがあるので、直接契約のご認識がないだけです。
これらの責任を重く受け止め、今後の活動は以下の番組を含め自粛したい旨、お伝えしております。
● 4月より放送予定であったフジテレビ「ユアタイム」(2016年4月より予定)
● テレビ朝日系列ネットTV「Abema TV」(2016年4月より予定)
● フジテレビ「とくダネ!」
● テレビ朝日「報道ステーション」
● BSスカパー「Newsザップ」
● 81.3FM J-WAVE「MakeIT21」
関係各位、皆様には大変なご心配とご迷惑をおかけして誠に申し訳ございません。
ショーン・マクアードル川上
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