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2014.05.14

ブログ更新>裸は名誉棄損!裸は人の社会的評価を下げるのか?>:「リベンジポルノ」男に実刑判決 名古屋地裁 被告は昨年8月、愛知県内に住む元交際相手の30代女性の顔入りの裸の写真をサイトに投稿し、女性の名誉を傷つけた 2014年5月14日午後12時40分 更新情報あり

リベンジポルノと言われるものの中には、いくつか類型があります。

1 たとえば、アップした裸の画像や映像に、「ウザい」とか「ブス」とか「メス豚」なんて、コメントを付けてUPすれば、被害者に対する名誉棄損となることは明らかです。→ 刑法230条

しかし

2 何のコメントもつけず、「裸」だけを掲載する場合に、犯罪は成立するのか?

(1)性器が露出しているなど、わいせつ物頒布罪にあたるものであれば、他国ではともかく、現在の日本では、当然、犯罪となります。 → 刑法175条

(2)性器の露出がないただの「裸」でも、18歳未満の児童の画像であれば、児童ポルノとして、犯罪となります。 → 児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律

(3)残る問題は、わいせつ物頒布罪にあたらず、児童ポルノにあたらない「裸」です。どうか? 

以前は、人は誰でも脱いだら「裸」となるのですから、「裸」だけでは名誉き損にならないという見解もありました。⇒奥村徹弁護士の見解

 しかし最近の判例では、たとえ性器にモザイクを施したとしても、また単なる裸であっても、裸を掲載すること自体が、「人の社会的評価を低下させる」として、名誉棄損となるという判例が出てきていました。

今回の判決は、その流れにあり、別段目新しいものではありませんが、実刑判決という点では、珍しいと思います。

それだけ裁判所が、リベンジポルノについて、「インターネットの画像は回収の見込みが極めて乏しく、被害女性の精神的苦痛は大きい」という点を重視したのだと思います。

(4)残る最大の問題は、裸までいかない、画像のアップです。

→水着はどうか。下着はどうか。薄着はどうか。平服の着衣はどうか、など、リベンジの形態は様々です。課題は残されています。

規制を安易に許せば、一歩間違えば、海辺の写真や雑踏などは、使用できなくなる恐れがあります。行方不明の友達を探すために、画像をアップすることも、過去のクラブ活動の集合写真も。Tシャツやキャミソールのように、下着と薄着との境界も、あいまいです。

しかし、無断で画像や映像をアップされる側から見れば、いずれもが、プライバシーの侵害であることは明らかで、気持ちの悪い場合があることは当然ですが、今のところ、どのよう場合が犯罪となるのか、まだ確定判例はありません。

そして、ここまで来ると、リベンジの対象が「ポルノ」と言葉で限定すること自体に、問題がありそうです。

リベンジポルノというよりも、リベンジピクチャー(リベンジピック revenge picuture / revnge pic)と言った方が現実に合うのかもしれません。

米国では、2013年以降、各州で、リベンジポルノ法(但し正式な名称は様々です。)が定められ、裸だけでなく、下着姿など、性的なものも含む「嫌がらせ目的で個人的な写真・映像を流出させ」る行為が、犯罪化されつつあります。但し表現の自由との調整上、自宅でとられた写真などと、場所的、限定がなされるなどしています。

State 'Revenge Porn' Legislation 但し英語。このホームページを主催するNCSL = National Conference of State Legislatures は、ワシントンに本部を持つ、全米最大の超党派の立法活動援助団体の一つ

表現の自由に対する過度な干渉になるという考えもありますが、本人の同意なく、プライバシー画像を提供する行為を無限定に許すことにも問題があると思います。問題は調整です。

「嫌がらせ目的」などの目的を限定した形で、日本でも、全くの野放し的な放置はできず、規制方向の流れになっていくのではと思います。

ただその方向性が、米国のような、リベンジピクチャーへの直接規制となるのか、ストーカー規制のような類型で、特別な類型に対する特別法法的な規制となるのか、については、議論が必要で、僕は、規制といっても、ストーカー規制のような特別法的規制の方が、表現の自由とのバランス上、よりあるべき規制の在り方だと思っています。

 

参考

中日新聞:「リベンジポルノ」男に実刑判決 名古屋地裁:社会(CHUNICHI Web). 2014年5月12日 20時32分

元交際相手の裸の写真をネット上に投稿したとして、名誉毀損(きそん)の罪に問われた埼玉県上尾市、無職蛭田貴雄被告(46)の判決公判が12日、名古屋地裁であり、山田亜湖裁判官は「犯行態様は卑劣で悪質。インターネットの画像は回収の見込みが極めて乏しく、被害女性の精神的苦痛は大きい」などとして、懲役10月(求刑懲役1年)を言い渡した。

 判決によると、被告は昨年8月、愛知県内に住む元交際相手の30代女性の顔入りの裸の写真をサイトに投稿し、女性の名誉を傷つけた。

 別れた後で腹いせに元交際相手のわいせつな写真をネット上に公開する行為は「リベンジポルノ」と呼ばれ、近年社会問題化している。

(中日新聞)

「復讐のポルノ」を非合法化、米カリフォルニア州 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News  2013年10月03日 15:27 発信地:ロサンゼルス/米国

【10月3日 AFP】米カリフォルニア(California)州は1日、離婚した元配偶者や別れた元恋人の裸の写真をインターネット上に流出させる「リベンジ・ポルノ(復讐のポルノ)」と呼ばれる嫌がらせ行為を非合法化した。違反者には最高で禁錮6月の実刑が科せられる。

 リベンジ・ポルノ非合法化法案は1日、ジェリー・ブラウン(Jerry Brown)知事の署名を受けて即日施行された。嫌がらせ目的で個人的な写真・映像を流出させたとして有罪になれば、最高で禁錮6月か最高1000ドル(約9万8000円)の罰金刑の対象となる。

 早期可決を目指して「緊急」条項付きで法案を州議会に提出したアンソニー・カネラ(Anthony Cannella)州上院議員は、「これまで被害者を守る法律がなかった」ため「あまりに多くの人々が、かつて信頼していた相手の行為によって生活をひっくり返された」と述べ、法案の重要性を認識して法制化を急いだブラウン知事に謝意を示した。

 カリフォルニア州には、無許可で撮影した他人の写真を投稿するのはプライバシー侵害だとして禁止する法律はこれまでもあった。だが新法の下では、同意の上で撮影された写真でも、写った人の同意なく投稿されれば違法とみなす。つまりカップルで一緒に撮影した写真を、別れた後に相手の同意を得ずに投稿するのも違法ということになる。

 カネラ議員は「リベンジ・ポルノは破局が原因で起きることが多い」「リベンジ・ポルノ専用の投稿サイトさえ存在し、被害者が掲載写真の削除を求めると法外な料金を請求する」と指摘している。(c)AFP

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