史上初めての再選挙が決まりました。
現在の仮集計は、次のとおりです。
⇒http://www.nichibenren.or.jp/news/year/2012/120314.html
今回の再選挙は、とても残念です。
市民の人権の最後の砦でもある日弁連の会長が正式に決まらない状態が続くのは、市民、特に弱者である市民にとって、悲劇です。僕自身も非常に時間が取られますし、大事な案件が、日弁連の意見として集約されていく過程についても、今、実際に、時間がかかりつつあります。
しかしこの今は、大震災後の復興のために、日弁連の果たす役割は非常に大きい、今、です。
弁護士法には、(弁護士の使命)として、 「第1条 弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする。」とあります。
この時期の、再選挙は、市民にとって、本当に打撃です。
しかも残念ながら今回の会長選挙の対立図式は、「派閥」対「脱派閥」の戦いです。
再選挙という結果は、この派閥の壁が、想像以上に大きいということを意味しています。
そう弁護士会には「派閥」があります。
地方会を押さえた宇都宮健児現会長に対し、山岸憲司候補は、東京の3弁護士会と大阪弁護士会という最大単位会を押さえました。
投票権を持つ全弁護士の3万1874人中、この東京3会と大阪弁護士会だけで、1万8826人もいます。その割合は、約60%にものぼります。
これら大単位会の派閥構成については、僕の原稿をみていただければわかります。
つまりこれらの大単位会の派閥を押さえれば、大量票を確保できる仕組みがあります。
この派閥の問題に、地方会が対抗しているというのが、今回の選挙のからくりです。
僕の意見は、日本の経済が右肩上がりの時代には、予定調和的で、調整的な役割を果たす「会長の派閥人事」も必要であった面もあるとは思っています。
しかし日本が動乱期に入り、まさに決断が必要な時代には、市民の立場にたって、派閥を超えて、あるいは派閥を打破して、政策と人で選ぶ選挙が必要になると思います。
この点は、次の再選挙で、これから立候補する会長選挙の候補者も、そして今後当選した会長も、市民の皆様も、よく考えていただきたいと思います。
まさに「基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする」という視点で・・・・・・。
[参考]
・このブログ=日本弁護士連合会 会長選挙
・弁連会長選、史上初の再選挙へ 決選投票でも要件不足 朝日新聞 2012年3月14日18時58分
2月の投票で当選者が決まらなかった日本弁護士連合会(会員約3万2千人)の次期会長選の再投票が14日、実施された。前回の投票の上位2人で争われたが、どちらも当選要件を満たさず、今回も当選者が決まらなかった。改めて立候補を受け付ける「再選挙」が史上初めて行われる。投開票は4月27日。
候補者は東京弁護士会元会長の山岸憲司氏(64)と、現職で同弁護士会所属の宇都宮健児氏(65)。全会員による直接選挙が始まった1975年以降、現職が再選を目指すのは初めてだった。
山岸氏が8558票、宇都宮氏が7486票を得たが、山岸氏は「全国に52ある弁護士会のうち3分の1以上で多数票を得る」という要件を満たさなかった。
・時事ドットコム:決選投票でも決まらず=日弁連会長選、やり直しへ (2012/03/14-18:54)
日弁連の次期会長選の決選投票が14日行われ、即日開票の結果、1回目の投票に続き、現職の宇都宮健児氏(65)=東京弁護士会=、東京弁護士会元会長の山岸憲司氏(64)のいずれも当選の条件を満たさなかった。このため新たに候補者を募集し、改めて選挙がやり直されることになった。
会長選のやり直しは初めて。現職の任期は今月末までで、当選者が決まるまでの間は、宇都宮氏が会長職にとどまる。
・弁護士法
(弁護士の使命)
第一条 弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする。
2 弁護士は、前項の使命に基き、誠実にその職務を行い、社会秩序の維持及び法律制度の改善に努力しなければならない
(設立、目的及び法人格)
第四十五条 全国の弁護士会は、日本弁護士連合会を設立しなければならない。
2 日本弁護士連合会は、弁護士及び弁護士法人の使命及び職務にかんがみ、その品位を保持し、弁護士及び弁護士法人の事務の改善進歩を図るため、弁護士、弁護士法人及び弁護士会の指導、連絡及び監督に関する事務を行うことを目的とする。
3 日本弁護士連合会は、法人とする。
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