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2021.11.20

いわゆる敷金トラブルを防止する東京ルールを定めた東京都の「賃貸住宅紛争防止条例」の解説(現行条文を全文掲載付き)

正式名称は「東京における住宅の賃貸借に係る紛争の防止に関する条例」と言います。 

この条例は、住宅の賃貸借に係る紛争を防止するため、東京都内にある居住用の賃貸住宅について、都内の物件を扱う不動産業者=宅地建物取引業者であれば、都内都外の業者を問わず、原状回復等に関する民法などの法律上の原則や判例により定着した考え方を、業者が説明することを義務付けたものです。

つまり直接的には、不動産業者が、借主=消費者に不動産を仲介する際の説明義務の内容を定めたものですが、その中身は、敷金の返還範囲の説明義務を業者に課したものですので、借主退去の際に頻繁に問題となる敷金の返還範囲について、貸主と借主間にトラブルが発生しないような基準(ルール)を定めて、トラブル防止を企図したもので、「東京ルール」と呼ばれています。

同条例と同時に制定された下記の「東京における住宅の賃貸借に係る紛争の防止に関する条例施行規則」には、説明義務の対象として、

1退去時における住宅の損耗等の復旧については、当事者間の特約がある場合又は賃借人の責めに帰すべき事由により復旧の必要が生じた場合を除き、賃貸人が行うとされていること

2住宅の使用及び収益に必要な修繕については、当事者間の特約がある場合又は賃借人の責めに帰すべき事由により修繕の必要が生じた場合を除き、賃貸人が行うとされていること

3当該住宅の賃貸借契約において賃借人の負担となる事項

が定められています。

※参考:東京都;賃貸住宅紛争防止条例

※参考:東京都:賃貸住宅トラブル防止ガイドライン





東京都の条例説明=最終更新日:平成30(2018)年5月24日
 
この条例は、住宅の賃貸借に係る紛争を防止するため、原状回復等に関する民法などの法律上の原則や判例により定着した考え方を宅地建物取引業者が説明することを義務付けたものです。
 
条例の適用対象
  • 東京都内にある居住用の賃貸住宅(店舗・事務所等の事業用は対象外)
  • *都内の物件を扱う場合、都外の宅地建物取引業者にも説明を義務付けている
  • 平成16年10月1日以降の新規賃貸借契約(更新契約は対象外)
  • 宅地建物取引業者が媒介または代理を行う物件
説明する内容
  • 退去時における住宅の損耗等の復旧について(原状回復の基本的な考え方)
  • 住宅の使用及び収益に必要な修繕について(入居中の修繕の基本的な考え方)
  • 実際の契約における賃借人の負担内容について(特約の有無や内容など)
  • 入居中の設備等の修繕及び維持管理等に関する連絡先
  • *なお、住宅を借りようとする者が宅地建物取引業者である場合は、書面の交付のみで説明は不要

 

条例本文(下線は紀藤)
 
平成16年3月31日 条例第九五号
 
最終改正平成29年10月13日(平成二九年条例第六七号)
 
(目的)
第一条 この条例は、宅地建物取引業者(宅地建物取引業法(昭和二十七年法律第百七十六号。以下「法」という。)第二条第三号に規定する宅地建物取引業者をいう。以下同じ。)が、専ら居住を目的とする建物(建物の一部を含む。以下「住宅」という。)の賃貸借に伴い、あらかじめ明らかにすべき事項を定めること等により、住宅の賃貸借に係る紛争の防止を図り、もって都民の住生活の安定向上に寄与することを目的とする。
 
(宅地建物取引業者の説明等の義務)
 
第二条 宅地建物取引業者は、住宅の賃貸借の代理又は媒介をする場合は、当該住宅を借りようとする者に対して法第三十五条第一項(同条第六項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)の規定により行う同項各号に掲げる事項を記載した書面の交付又は当該事項の説明に併せて、次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面を交付して説明しなければならない。ただし、当該住宅を借りようとする者が宅地建物取引業者である場合は、当該書面についての説明を要しないものとする。
 
一 退去時における住宅の損耗等の復旧並びに住宅の使用及び収益に必要な修繕に関し東京都規則(以下「規則」という。)で定める事項
 
二 前号に掲げるもののほか、住宅の賃貸借に係る紛争の防止を図るため、あらかじめ明らかにすべきこととして規則で定める事項 (平二九条例六七・一部改正)
 
(紛争の防止のための措置)
 
第三条 知事は、住宅の賃貸借に係る紛争の防止のために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
 
(報告の聴取等)
 
第四条 知事は、この条例の施行に必要な限度において、宅地建物取引業者に対し、その業務に関する報告又は資料の提出を求めることができる。
 
(指導及び勧告)
 
第五条 知事は、宅地建物取引業者が次の各号のいずれかに該当する場合は、当該宅地建物取引業者に対し、書面の交付若しくは説明を行い、又は報告若しくは資料の提出をし、若しくは報告若しくは資料の内容を是正するよう指導及び勧告をすることができる。
 
一 第二条の規定による書面の交付又は説明の全部又は一部を行わなかったとき。
 
二 前条の規定による報告若しくは資料の提出をせず、又は虚偽の報告若しくは資料の提出をしたとき。(平二九条例六七・一部改正)
 
(公表等)
 
第六条 知事は、前条の勧告を受けた者が正当な理由なく当該勧告に従わなかったときは、その旨を公表することができる。
 
2 知事は、前項の規定による公表をしようとする場合は、当該勧告を受けた者に対し、意見を述べ、証拠を提示する機会を与えるものとする。
 
(委任)
 
第七条 この条例に規定するもののほか、この条例の施行について必要な事項は、規則で定める。
 
附 則
 
この条例は、平成十六年十月一日から施行する。
 
附 則(平成二九年条例第六七号)
 
(施行期日)
 
1 この条例は、公布の日から施行する。
 
(経過措置)
 
2 この条例の施行の日前に締結された契約に係る指導及び勧告については、なお従前の例による。
 
 
 
東京における住宅の賃貸借に係る紛争の防止に関する条例施行規則
 
平成一六年三月三一日 規則第九二号
 
(趣旨)
第一条 この規則は、東京における住宅の賃貸借に係る紛争の防止に関する条例(平成十六年東京都条例第九十五号。以下「条例」という。)の施行について必要な事項を定めるものとする。
 
(宅地建物取引業者の説明事項等)
 
第二条 条例第二条第一号の規則で定める事項は、次に掲げる事項とする。
 
一 退去時における住宅の損耗等の復旧については、当事者間の特約がある場合又は賃借人の責めに帰すべき事由により復旧の必要が生じた場合を除き、賃貸人が行うとされていること。
 
二 住宅の使用及び収益に必要な修繕については、当事者間の特約がある場合又は賃借人の責めに帰すべき事由により修繕の必要が生じた場合を除き、賃貸人が行うとされていること。
 
三 当該住宅の賃貸借契約において賃借人の負担となる事項
 
2 条例第二条第二号の規則で定める事項は、賃借人の入居期間中の設備等の修繕及び維持管理等に関する連絡先となる者の氏名(法人にあっては、その商号又は名称)及び住所(法人にあっては、その主たる事務所の所在地)とする。
 
3 知事は、宅地建物取引業者が条例第二条の規定による書面の交付又は説明を適正に行うために必要な事項を示すものとする。(平二九規則一一一・一部改正)
 
(勧告)
 
第三条 条例第五条の勧告は、勧告書(別記様式)により行うものとする。
 
(公表)
 
第四条 条例第六条第一項の規定による公表は、東京都公報への登載その他広く都民に周知する方法により行うものとする。
 
2 公表する事項は、次に掲げる事項とする。
 
一 勧告を受けた者の氏名(法人にあっては、その商号又は名称及び代表者の氏名)
 
二 勧告を受けた者の住所(法人にあっては、その主たる事務所の所在地)
 
三 勧告の内容
 
四 前三号に掲げるもののほか、知事が必要と認める事項
 
(意見陳述の機会の付与)
 
第五条 条例第六条第二項の意見を述べ、証拠を提示する機会(以下「意見陳述の機会」という。)におけるその方法は、知事が口頭ですることを認めた場合を除き、意見及び証拠を記載した書面(以下「意見書」という。)を提出して行うものとする。
 
2 知事は、勧告を受けた者に対し意見陳述の機会を与えるときは、意見書の提出期限(口頭による意見陳述の機会の付与を行う場合には、その日時)までに相当な期間をおいて、当該勧告を受けた者に対し、次に掲げる事項を書面により通知するものとする。
 
一 公表しようとする内容
 
二 公表の根拠となる条例等の条項
 
三 公表の原因となる事実
 
四 意見書の提出先及び提出期限(口頭による意見陳述の機会の付与を行う場合には、その旨並びに出頭すべき日時及び場所)
 
3 前項の規定による通知を受けた者(以下「当事者」という。)又はその代理人は、やむを得ない事情のある場合には、知事に対し、意見書の提出期限の延長又は出頭すべき日時若しくは場所の変更を申し出ることができる。
 
4 知事は、前項の規定による申出又は職権により、意見書の提出期限を延長し、又は出頭すべき日時若しくは場所を変更することができる。
 
5 知事は、当事者に口頭による意見陳述の機会を与えたときは、当事者又はその代理人の陳述の要旨を記載した書面を作成するものとする。
 
6 代理人は、その代理権を証する書面を、意見書の提出期限又は出頭すべき日時までに知事に提出しなければならない。
 
7 知事は、当事者又はその代理人が正当な理由なく意見書の提出期限内に意見書を提出せず、又は出頭すべき日時に口頭による意見陳述をしなかったときは、条例第六条第一項の規定による公表をすることができる。
 
附 則
 
この規則は、平成十六年十月一日から施行する。
 
附 則(平成二九年規則第一一一号)
 
この規則は、公布の日から施行する。
 
附 則(令和元年規則第二八号)
 
1 この規則は、令和元年七月一日から施行する。
 
2 この規則の施行の際、この規則による改正前の東京都規則の様式(この規則により改正されるものに限る。)による用紙で、現に残存するものは、所要の修正を加え、なお使用することができる。
 
 
別記様式(第3条関係)
 
(令元規則28・一部改正)
G101fg00010466s

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【参考】2021/11/30UP

UR賃貸住宅のパンフレット

表 11126007181024x720

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