消費者に朗報!「広告」も消費者への「勧誘」にあたる=健康食品めぐり最高裁の初判断
どちらが常識的でしょうか?
最高裁=「広告のような不特定多数への働き掛けも、勧誘に当たる場合がある」
VS
大阪高裁=「広告は勧誘には当たらない」
法的に言うと、広告は、「勧誘」ではなく、「勧誘の誘因行為」、つまり勧誘のきっかけにすぎない、広告を見て、店舗に来たり電話を掛けてきた消費者に対し、初めて「勧誘」が始まるというのが、業者側の言い分でした。
でも実態はそうなっていないでしょう。よほど「広告」の方が商品に対する具体的な説明になっていたり、「誇張広告」が氾濫しています。
今日2017年1月24日の最高裁の判断は、現在の広告の実態を踏まえた、きわめて良識と常識に合致した判断で、これにより、「広告」も「勧誘」にあたり、消費者契約法の対象となると判断しました。
実は、消費者を守る法律である、今回その解釈が争われた争われた消費者契約法も、悪徳商法などを規制する特定商取引法も、「勧誘」の規制が中心となってきました。
業者の行為が「広告」なのか、「勧誘」なのかで、規制のレベルが全然違っていました。
「広告」の実態を踏まえると、異常な野放しが「広告」になされてきたことは、「電通」などの「広告業者」が日本では、異常に力が強いことと、全く無関係でないと思われます。
今日の最高裁の判断は、これまで消費者側が何度も主張してきたことが、ようやく認められた形で、大きな朗報です。
今回の具体的な訴訟案件で言えば、広告も消費者契約法上の、差し止めの判断対象となり得ることを示したもので、今後の消費者の利益保護に多いにつながります。
とっても重要な判決なので、UPしておきます。
[参考条文]-下線は紀藤
■「消費者契約法」(抜粋)
(消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示の取消し)
第四条 消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対して次の各号に掲げる行為をしたことにより当該各号に定める誤認をし、それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。
一 重要事項について事実と異なることを告げること。 当該告げられた内容が事実であるとの誤認
二 物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものに関し、将来におけるその価額、将来において当該消費者が受け取るべき金額その他の将来における変動が不確実な事項につき断定的判断を提供すること。 当該提供された断定的判断の内容が確実であるとの誤認
2 消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対してある重要事項又は当該重要事項に関連する事項について当該消費者の利益となる旨を告げ、かつ、当該重要事項について当該消費者の不利益となる事実(当該告知により当該事実が存在しないと消費者が通常考えるべきものに限る。)を故意に告げなかったことにより、当該事実が存在しないとの誤認をし、それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。ただし、当該事業者が当該消費者に対し当該事実を告げようとしたにもかかわらず、当該消費者がこれを拒んだときは、この限りでない。
3 消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対して次に掲げる行為をしたことにより困惑し、それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。
一 当該事業者に対し、当該消費者が、その住居又はその業務を行っている場所から退去すべき旨の意思を示したにもかかわらず、それらの場所から退去しないこと。
二 当該事業者が当該消費者契約の締結について勧誘をしている場所から当該消費者が退去する旨の意思を示したにもかかわらず、その場所から当該消費者を退去させないこと。
(差止請求権)
第十二条 適格消費者団体は、事業者、受託者等又は事業者の代理人若しくは受託者等の代理人(以下「事業者等」と総称する。)が、消費者契約の締結について勧誘をするに際し、不特定かつ多数の消費者に対して第四条第一項から第三項までに規定する行為(同条第二項に規定する行為にあっては、同項ただし書の場合に該当するものを除く。次項において同じ。)を現に行い又は行うおそれがあるときは、その事業者等に対し、当該行為の停止若しくは予防又は当該行為に供した物の廃棄若しくは除去その他の当該行為の停止若しくは予防に必要な措置をとることを請求することができる。ただし、民法 及び商法 以外の他の法律の規定によれば当該行為を理由として当該消費者契約を取り消すことができないときは、この限りでない。
[参考記事]
・広告も差し止め対象=健康食品めぐり初判断―最高裁 時事通信 1/24(火)
健康食品のチラシ広告が、消費者契約法に基づき差し止めを請求できる「勧誘」に当たるかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第3小法廷(山崎敏充裁判長)は24日、「広告のような不特定多数への働き掛けも、勧誘に当たる場合がある」との初判断を示した。
最高裁の判断は、広告も差し止めの判断対象となり得ることを示したもので、消費者の利益保護につながる可能性がある。
訴訟は、京都市の消費者団体が、健康食品会社「サン・クロレラ販売」(同市)に新聞折り込みチラシの配布差し止めを求めた。
一審京都地裁は2015年、「チラシは、商品が厳格に審査された医薬品と誤認させる恐れがある」と指摘して差し止めを認めた。しかし、二審大阪高裁は16年、「広告は勧誘には当たらない」と判断した上で、同社が一審判決以降は配布していないことも踏まえ、請求を棄却した。
消費者団体側が上告。最高裁も、既に配布が中止されていることから上告は棄却した。
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