米国格差社会がもたらした「トランプ大統領の誕生」という逆説
このワシントンポストの記事を見ると(ほかにもいくつか選挙動向の統計が出ていますが)、今回の選挙結果は、白人の中産階級以下、特に白人低所得者層(しかも高齢者)の不満が、トランプに向いたというものです。
「Clinton and Trump’s demographic tug of war」=タイトル訳「人口動態でみたクリントンとトランプの勢力争い」=ただし英語記事ですが、英語がわからない人でも、表は、だいたいわかると思います。
図式的にわかりやすく言うと、米国の白人負け組の反乱ですが、米国において、白人負け組が、実質的に過半数を超えたという面が見逃せません。
つまり投票行動だけ見れば、1国資本主義、Brexit(イギリスのEU離脱)の動きと同じ流れの中にあり、さらに世界全体的な流れからいうと、ピケティ流の資本主義の行き詰まり、格差社会の行きつく果ての結果が、支配層への反乱ではなく、逆説的に、本来の支配層である白人右翼政権の樹立に向かったとも言えますので、非常に悲劇的です。
この点、トランプが、自分の「品位」とは対極にある共和党最右翼キリスト教保守派で、中絶禁止、離婚反対等、家族主義を主張するペンスを副大統領候補に選んで、トランプの不道徳な面にパッチをはめて共和党の反対層やトランプの品位のなさを心配する層を取り込む戦略をとったのに対し、逆にクリントンが、資本主義が必然的にもたらす「格差」という悪弊を根本から考え直そうとし、格差の根本的是正を訴えたサンダースを副大統領候補に選ばず、米国内の社会的弱者への配慮を、十分に示さなかったことが、とても悔やまれます。
その時点では、風向きがクリントンに向いていましたので、世論を甘く見たのだろうと思いますが、今となっては、それでも、ダメを押すべきであったことは明らかであり、完全な戦略ミスの類です。
ただ経済的自由主義(トランプ)と道徳保守主義(ペンス)のミックスという面もあり、うまくいけば、レーガン大統領のレーガノミックスの路線とも似てくる可能性がありますので、この政権の将来は、日本にとっても、米国にとっても、世界にとっても、非常に微妙です。
どうなることやらです。クリントンなら、特に変化がなく、安心できたのですが・・・・
ただこれも安定を望む、自分も、そして日本も、それなりの立場になったという感性がなせる業なのか、と、今回の選挙の衝撃に、自問自答しています。
なお僕自身は、資本主義のシステムを現状のままこのまま放置すれば、さらに格差は広がるばかりですから、米国の変革、いな、世界の変革は、このままでは終わらないと、思っています。
{参考}
・トランプ氏勝利の背景に深い政治不信=米大統領選:時事=2016/11/09-16:52
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