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2015.11.30

菊地直子高裁判決の参考判例=裁判員裁判無罪判決を破棄自判した高裁判決を再逆転させた最高裁無罪判決に関する東京弁護士会の会長声明

引用するのは、菊地直子無罪判決とは逆バージョンの2012年2月13日付け最高裁判所第1小法廷最高裁判決に関する東京弁護士会の声明です。

この事件は、

◇1審無罪→高裁有罪→最高裁(1審破棄の基準を述べて、高裁判決破棄=無罪)

対し

◇菊地直子無罪判決は、一審有罪→高裁有罪→最高裁は?

という事件です。

事案は、全くの逆バージョンですが、上記最高裁の基準は、菊地高裁判決でもそのまま判断枠組みとして、参考にされています。

他方被告人の立場からは、上記最高裁規準は、「万一にも無辜の者を罰することがあってはならないという」と言う意味で、「本件最高裁判決は,そのような場合にも控訴審が第1審判決を尊重すればよいという考えを示したものとは解されない。」としており、そのまま参考にすべきでないとされていることから、菊地直子高裁判決の事案が、上告された場合に、最高裁が、新たに、2012年判決とは異なる基準を立てるのか、あるいはそのまま維持したうえで何らかの判断を示すのか、また否かが、非常に興味深いところです。

以下下線は紀藤です。

裁判員裁判無罪判決を破棄自判した高裁判決を再逆転させた最高裁無罪判決に関する会長声明|東京弁護士会=2012年02月23日

東京弁護士会 会長 竹之内 明

2月13日,最高裁判所第1小法廷は,覚せい剤を密輸したとして起訴され第1審(千葉地方裁判所)の裁判員裁判で無罪とされ,控訴審(東京高等裁判所)で逆転有罪判決(懲役10年,罰金600万円)が言渡された事件の上告審判決で,控訴審判決を破棄し,控訴棄却の判決を言い渡した。検察官控訴が最高裁で棄却されたことにより,裁判員裁判による第1審無罪判決が確定した。

裁判員裁判による無罪判決を覆した上記控訴審判決に際しては,当会は2011年4月6日に会長声明を発表し,裁判員裁判の制度趣旨を逸脱するものであると批判するとともに,最高裁判所の判断に注目すると述べていたところである。

本件最高裁判決は,三段階に論理を展開して結論にいたっている。

第1に,刑事訴訟における控訴審が「事後審」であることをあらためて強調している。判決は,「控訴審は,第1審と同じ立場で事件そのものを審理するものではなく・・・・第1審判決を対象とし,これに事後的な審査を加えるべきもの」と述べている。

第2に,上記「事後的な審査」を敷衍して,「控訴審における事実誤認の審査は,第1審判決が行った証拠の信用性評価や証拠の総合判断が論理則,経験則等に照らして不合理といえるかという観点から行うべきもの」であり,「第1審判決の事実認定が論理則,経験則等に照らして不合理であることを具体的に示すことが必要である」と述べている。

第3に,裁判員裁判の意義を強調して,「このことは,裁判員制度の導入を契機として,第1審において直接主義・口頭主義が徹底された状況においては,より強く妥当する」と述べている。

そして,このように展開した論理を本件の事実に当てはめ,本件控訴審判決は,「被告人の弁解が排斥できないとして被告人を無罪とした第1審判決について,論理則,経験則等に照らして不合理な点があることを十分に示したものと評価することができない」と結論づけた。

本件の第1審無罪判決は,検察官の立証が合理的疑いを超える程度に尽くされているかどうかにつき,直接主義・口頭主義の徹底された審理を経て,裁判員と裁判官とが評議し,刑事訴訟の無罪推定の原則に忠実に,なお合理的な疑いを差し挟む余地があると判断したものであった。

これに対して,本件控訴審判決は,第1審の事実認定に論理則,経験則等に照らして不合理な点を具体的に示すことができないにもかかわらず,裁判官が自ら形成した心証を重視して安易に有罪の判断をおこなったものであった。これは,控訴審の事後審としての性格にもとるだけでなく,刑事訴訟における無罪推定の原則からも逸脱した,誤った判断であったというべきである。

本件最高裁判決が本件控訴審判決の誤りを正したことは,直接主義・口頭主義を徹底し,刑事訴訟における無罪推定の原則に忠実におこなわれた第1審裁判員裁判の判断を尊重する姿勢を最高裁が示したものというべきであり,その意義を評価することができる。

本件とは逆に裁判員裁判で第1審が有罪判決を出した場合には,控訴審は,検察官の立証が合理的な疑いを差し挟む余地がない程度に尽くされているのかどうかをあらためて吟味しなければならない。そのことこそが,万一にも無辜の者を罰することがあってはならないという刑事訴訟の基本原則に忠実な事後審のあり方というべきである。本件最高裁判決は,そのような場合にも控訴審が第1審判決を尊重すればよいという考えを示したものとは解されない。

当会としては,今後とも裁判員制度及びその控訴審のあり方について,制度上及び運用上の問題点について検証を続けて行くとともに,冤罪を生まない刑事司法を実現するために,全力を尽くす所存である。

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