遅すぎる摘発!
今朝の読売新聞の報道等によれば、真珠詐欺商法のキュートに対し、今日にも社長の逮捕に踏み切るようです。
数年前から問題となり、一昨年には、各地で弁護団が結成され、訴訟にまで発展していたのですから、近未来通信事件でもそうですが、出資法違反事件(実質は詐欺事件)の摘発が遅すぎると思います。
摘発時に財産が残っていることはほどんどなく、これでは被害者は浮かばれません。
同じ様な事件が毎回問題となっているのですから、国は、警察による刑事規制だけでなく、米国のように、行政規制と民事規制と刑事規制が連動して補完しあえるような体制作りをはじめるべきです。
米国には、そもそも検察庁に、刑事局と民事局が並存し、司法取引制度が前提にありますが、刑事摘発と同時に民事的な処理も、検察庁の中で動き始めるし、また検察庁の民事的な処理が、刑事摘発より、先に動き出すこともあります。
要するに柔軟なんです。こうした制度を日本でも作る必要があるのではないでしょうか?
主婦らから50億、「真珠投資」社長を出資法違反で逮捕へ-
(2007年8月20日3時2分 読売新聞)
愛媛県愛南町の真珠養殖販売会社「キュート」が、全国の主婦らに真珠養殖事業への投資話を持ちかけて多額の現金を集めていた出資法違反事件で、愛媛、宮城など6県警の合同捜査本部は、同社社長(64)ら5人について、出資法違反(預かり金の禁止)の疑いで逮捕状を取った。
20日朝にも強制捜査に乗り出し、社長らを同容疑で逮捕する。
同社は、39都道府県の主婦ら約2500人から総額約50億円を集めていたとみられる。出資の際に契約者に約束した配当金の大半が支払われておらず、捜査本部は詐欺容疑での立件も視野に実態解明を進める。
調べでは、社長らは金融業の許可を得ずに2003年11月ごろから05年にかけて、山梨、宮城県などの主婦ら十数人に「真珠アクセサリーを1口100万円で購入すると、真珠養殖事業に投資でき、1年半後に元本に約20万円の配当をつけて返金する」などと勧誘し、計7000万円を集めた疑いがもたれている。
同社は05年7月ごろから契約者に元本や配当を支払わなくなり、同社工場の従業員も現在2人だけで、休眠状態となっている。
社長は読売新聞の取材に、代理人の弁護士を通じて「事業はあくまで真珠の売買で、投資を募ったわけではない」「真珠養殖事業に協力してくれた顧客に、感謝の気持ちとして利益を還元しただけ。事業不振で利益が上がらなければ、支払うことはできず、義務もない」などと弁明していた。
[参考記事]
・真珠商法被害相次ぐ 仙台で20日、無料相談会-(河北新報) -2006年 2月18日14時55分更新
「100万円の真珠を買えば、月に2万5000円を返します」という触れ込みで真珠を販売する商法をめぐり、トラブルが仙台市などで相次いでいるとして、仙台弁護士会の弁護士が被害対策弁護団をつくり、20日午後5時から青葉区の弁護士会館で無料相談会を開く。
弁護団によると、販売業者は愛媛県内海村の真珠養殖販売会社「キュート」と甲府市の関連代理店「ミネラバ山梨」。
販売員が戸別訪問したり説明会を開いたりして、「真珠の養殖販売事業に投資しませんか。100万円の真珠ネックレスをクレジットで購入すれば、毎月2万5000円ずつ返金する。それで返済できるので、真珠がただで手に入るようなもの」とクレジット契約を結ばせる。
しかし、返金があるのは最初の数カ月間だけで、その後は途絶え、購入者は多額の債務を抱えてクレジット会社から返済の催促を受けている。
仙台市の女性(57)は2005年3月、月2万3000円を返済する60回払いでクレジット契約を結んだ。初めの4カ月間は2万5000円ずつ口座に振り込まれたが、同年7月に返金がストップ。業者に電話しても、連絡が取れなかったという。ほかの被害者も返金はこのころに途絶えている。
被害を訴えているのは宮城県内で100人に上る。業者は被害者に「今騒ぐと返金できなくなる」と話しており、弁護団は潜在的な被害者も少なくないとみている。業者はセールスを全国的に展開しており、被害は各地に広がる可能性がある。
キュート側は「資金繰りがつかなくて返金できていないが、取り込み詐欺を狙った計画倒産ではない。なんとか再開したい」としている。
相談会の連絡先は高橋春男法律事務所022(223)8244。
・2006年05月21日(日) 15時40分 真珠投資40人「被害」 刑事告訴を検討(朝日新聞)
愛媛県愛南町の真珠養殖販売業「キュート」が真珠のアクセサリーセットの購入を主婦らに持ちかけて投資を募り、配当金支払いを滞らせている問題で、県内でも200人以上が契約し、少なくとも約40人が「被害」を訴えていることが分かった。被害対策弁護団は出資法違反(出資金の受け入れの制限)容疑で、同社の刑事告訴を検討している。被害に苦しむ出資者の姿を追った。(神庭亮介)
「(お金が儲(もう)かる)いい話があるの」。福島市の主婦(53)が、知人の女性から、投資話を持ちかけられたのは、04年9月だった。
主婦は、次のような説明を受けたという。キュートと会員契約し、1セット100万円の真珠のアクセサリーセットを現金で一括購入すると、1年6カ月後に約120万円返金される。分割で支払う場合、毎月2万3500円のローンを返済しても、キュート側から月2万5千円が振り込まれる。1年6カ月後、投資に応じた配当金の残金が支払われる。
「真珠は、1年6カ月後に3~5倍の値で売れる。その利益で配当できる」。知人女性の言葉に半信半疑だったが、「私は月40万円稼いだ」と通帳をみせられ、信じ込んだ。販売代理店「ミネバラ山梨」(甲府市)からアクセサリーのセットを購入し、信販会社とローン契約を結んだ。
会員を集めた食事会が月2回、市内のレストランなどで開かれ、毎回数十人が集まった。ミネバラ山梨の社長が「『子会員』を1人紹介すると5万円。『子会員』が『孫会員』を紹介すれば、さらに2万円の『お手間代』が親会員に入ります」と説明。「ただし、『お手間代』が出るのは『ひ孫』までなので、マルチ商法ではありません。キュートの社長は資産家なので安心です」と話したという。
主婦は古くからの会員の一人から、「3人勧誘すれば、無料で愛媛の養殖場を見学できる」と聞き、家族の名義を無断で使い、3人分の契約をした。実際に養殖場を見学してからは、さらに会員集めに熱中。「子会員」を増やし、多い月で30万円以上の「お手間代」が振り込まれた。
しかし、05年7月、キュートからの配当金の振り込みが止まった。同社社長が県内を訪れ、「投資仲間が亡くなってお金がまわらなくなった。10月には平常に戻るのでそれまで立て替えてほしい」と釈明したという。
主婦は自身を含めて4人分のローンを、毎月合わせて10万円近く支払わねばならなくなった。パートの収入や、今まで稼いだ「お手間代」で工面したが、2カ月で底をついた。返済が滞り、信販会社から1日数回、取り立ての電話がくるようになった。
同年10月、信販会社から夫や娘の勤め先にも電話が入り、家族に知られた。夫に責められ、娘は2カ月口を聞いてくれなかった。
子会員からの手紙も届いた。「卑怯(ひきょう)だ」「許せない」……。便箋(びんせん)は、非難の言葉で埋められていた。「知らないでやったことでも加害者と見られてしまう。申し訳ないです」。主婦は手紙を読み返す度、つらい思いでいっぱいになる。「人間関係は壊れ、信用もなくした。お金に目がくらんでしまった自分が情けないです」
ミネバラ山梨は、昨年9月に廃業した。元社長の女性は「マルチ商法という認識はなかった。(会員の)皆さんかわいそう。大変だなと思います。私も被害者。キュートの社長には責任をとって欲しい」と話す。
キュートの代理人を務める木村敢弁護士は「代理店の一部が(マルチ商法を)行っていた可能性はある」としている。
県弁護士会は昨年12月に被害対策弁護団を結成し、会員約40人の相談に応じてきた。弁護団では、金融業としての届け出なく出資金を受け入れたなどとして、出資法違反容疑でキュートを告訴する方針。菅野昭弘弁護団長は「詐欺容疑では犯意の立証が難しいので出資法違反容疑で告訴を考えているが、本質は詐欺事件」とする。
信販会社が会員を相手取り、立て替え金の支払いを求める訴訟を地裁に起こしているため、弁護団では「信販会社が加盟店の審査義務をきちんと果たしていたか疑問」として、契約の取り消しを求めている。
これとは別に、アクセサリーセットを一括購入した会員の一部は、キュート社長とミネバラ山梨社長を詐欺容疑で告訴することを検討している。2セットを購入した、福島市の主婦(55)は「お金が戻らないなら、せめて罪を償って欲しい」と話している。
http://mytown.asahi.com/fukushima/news.php?k_id=07000000605210002
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コメント
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ゆきこです。
ご指摘のとおり被害の拡大を防ぐためにも、
初動の重要さを感じます。
詐欺の張本人は、短時間にやれるだけやってしまえという
知恵が並はずれて長けています。
被害者は、最初からだまされているとは思いませんから、
この時間差の間に、犯人の思うがままにぶん取られ、
そして、被害額の大半が回収不能な状態になってしまって
いるのが現実のようです。
何より重要なことは、「高飛び」前に逮捕することですよ。
そのことが、たとえ被害にあっても、その被害を
最小限にする大きなポイントだと思います。
近未来の石井はまだ逮捕されていません。
捜査本部からの発表もありませんし、進展具合もわかりません。
忸怩たる思いは、私だけではないと思います。
後を絶たないこの手の事件に対し、捜査当局が、
何の学習もしていないなんて、子供以下ですね。
こんな人たちのために税金払っているのも
バカバカしくなります。
警察関係者は猛省をすべきです。
投稿: ゆきこ | 2007.08.20 09:35
こんにちは。
紀藤さんは本当に被害者の味方なんですね。
そのパワーはどこから来るのですか。
私も投資に若干興味がありますので、出資法違反事件は人ごとではないと思っています。ある程度だまされない自負はあっても、昨今はいろいろ合法的な手も使われていますし。
ただ経験上「楽して儲かる」ケースはありませんね。「第三者から見ると一見楽」ってだけじゃないかと思います。だから(ここからは自分に言い聞かせるつもりで書いていますが)儲け話を持ちかけられたら、どんなに親しい人経由でもしかるべきソースで冷静に調べてみて、疑わしいと判断したらノーと言う勇気をもちたいですね。儲け話はまず例外なくハイリスクですから。
投稿: Kiki | 2007.08.20 17:52
なんだろう?・・・
でもなんか面白そうなんですけどぉー
http://hfhgfghgf.cocolog-nifty.com/hitorigoto/
投稿: かおりん | 2007.08.22 13:15