隠さない、逃げない、ごまかさない!
「医療事故が起こったときには、余計なことは絶対に話すな」
これが日本の医師の世界の常識のようですが(すごい!)、
このような悪弊を問題視し、東京大学のお医者さんのボランティアグループ(東京大学 医療政策人材養成講座有志・「真実説明・謝罪普及プロジェクト」メンバー)が、ハーバード大学病院で使用されている「医療事故:真実説明・謝罪マニュアル: 本当のことを話して、謝りましょう」の全訳をされました(日本のお医者さんにも、善意な人たちがいる!ことに一安心)。
同グループによると、米国では、「真実説明・謝罪」の普及により、「『医療事故を誤ったら訴訟で不利になる』ということが神話に過ぎなかった」と認識されつつあり、「真実説明・謝罪」が人道的であること、医療事故紛争処理費用を下げること、また、医療事故に遭遇した医療従事者の支援にもなること、などが広く知られるようになってきたため、「真実説明・謝罪」の普及に弾みがつこうとしている段階と考えられているそうです。
実際、ミシガン・ヘルス・システムの実績では、「隠さない、逃げない、ごまかさない」=「真実説明・謝罪」の実践の結果が、次のように出ており、
損害賠償費用 300 万ドル(2001 年8 月)⇒100 万ドル(2005 年8 月)
紛争解決所要期間 20.7 カ月⇒9.5 カ月
紛争訴訟件数 262 件⇒114 件
訴訟も損害賠償額も減っているとのことです。
「隠さない、逃げない、ごまかさない」というマニュアルが、現に、ハーバード大学で実践されていることも驚きですが、素直に謝る、そして真実を話すことが、訴訟を減らし、損害賠償も減らすという結果は、こうした事件の被害者が、お金目的ではなく「真実を知りたい」ということから訴訟を起こすという、僕の経験とも合致します。
日本の多くの医療機関で、すぐにでも、このマニュアルを実践すべきだろうと思います。
[参考]
・SMAN(stop-medical-accident.net)真実説明・謝罪普及プロジェクト
このプロジェクト、「すまん」と「SMAN」をかけた語呂合わせのようです(^_^.)!。
連絡先メール: info%stop-medical-accident.net(スパム防止のため上記の全角「%」を代用しています。半角の「@」に直して下さい)
事務局: 牧田 篝(NPO法人患者のための医療ネット 事務局)
チームリーダー: 埴岡 健一(東京大学 医療政策人材養成講座 特任助教授)
米国の医療事故・対応マニュアル翻訳 HPで公開
東京大学医療政策人材養成講座で学ぶ現役の医師ら有志17人が、米国で広まりつつある「医療事故 真実説明・謝罪マニュアル」を翻訳し、16日からホームページで公開を始めた。
マニュアルの原本は、今年3月にハーバード大学の関連16病院で作り、導入されたもの。医療事故が起きたとき「隠さない、逃げない、ごまかさない」を原則とし、「患者や家族にきちんと説明し、きっちり謝罪する」方法が示されている。
翻訳に参加した東大医学部付属病院の内科医、渡辺清高さんは「事故を起こした医師のケアやサポートなども書かれている。日本でも医療現場に広がってくれれば」と話している。アドレスはhttp://www.stop-medical-accident.net/
【2006/11/17 東京朝刊から】
(11/17 21:03)
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