世論を馬鹿にした警察の傲慢さと怠慢さを憂う!
取調べの可視化は、被疑者被告人の人権の確保の観点から、次代の趨勢です。
米国のように取り調べの可視化を、まだ録音機器が完備していなかった時代(1960年代から)に、弁護人の立会い権(=ミランダルール)という形でも認めた国もあります。日本は、未だに、取調べ状況の録音、録画も、弁護人立会い権すら認めない、遅れた国です。
他の国でできるのに、日本だけができない理由はないはずでしょ。ただやりやすいようにやるだけ、加重労働は嫌という態度では、警察は、国民の納得は得られないでしょう。
裁判員制度のもとで、警察の体質は大きく批判されるでしょう。
つまり検察の今回の対応は、裁判員制度のもとで、かえって警察の体質の不備を浮き彫りにすると思います。
漆間巌警察庁長官は、世論読みを間違っていると思います。あるいは国民を馬鹿にしていると思います。
[参考]
■取り調べ録画、「検察に追随しない」 警察庁が方針-朝日新聞2006年05月11日18時47分.
取り調べ録画、「検察に追随しない」 警察庁が方針
警察庁の漆間巌長官は11日、検察官による容疑者の取り調べを録画・録音する試みが7月から始まることを受け、「警察は検察に追随することはない」と定例会見で述べ、警察の取り調べを録画・録音する考えはないことを明らかにした。
最高検によると、ビデオ撮影をするのは、裁判員制度の審理対象となる殺人などの重大事件で、送検後、担当検事の判断で、容疑者の自白が公判の争点になる可能性がある場合、容疑者に告げたうえで撮影する。漆間長官は「警察は第1次捜査機関として、動機や共犯者の割り出しなど事件を解明するために取り調べをしている。録画・録音はそれを阻害し、犯罪の検挙に多大な影響がある」と述べた。
■取り調べ録画、欧米・アジアで先行-朝日新聞2006年05月10日07時15分
日弁連がまとめた各国・地域の状況を見ると、欧米やアジアの捜査当局でも録画・録音の動きが出ている。
「可視化先進国」といわれる英国。きっかけは冤罪事件の調査で、84年には警察・刑事証拠法が制定され、テープ録音への道が開かれた。02年には取り調べ全過程の録画の試験運用が始まった。
また、オーストラリアのニューサウスウェールズ州の警察署では、容疑者はビデオカメラの正面に、取調官は両脇に座る。死角を作らない工夫で、同時に3本のテープに記録して、テープの1本は容疑者に渡される。
米国イリノイ州では、死刑事件での冤罪をきっかけに、03年に録画・録音を義務づける州法が成立。テキサス州やワシントンDCでも州法で可視化を義務づけた。
一方、日本と刑事制度が似ているアジアでは、台湾の捜査当局が録画・録音に自主的に乗り出した。70年代に取り調べの録音を始め、90年からはすべての刑事事件の全過程が録音対象となり、重大事件はビデオ撮影することにした。
他には、95年ごろから警察署でビデオ録画を始めた香港、04年5月から検察庁が録画・録音を試験的に始めた韓国などがある。
取調室の「密室化」を防ぐため、日本では実現していない弁護人の立ち会いを認めることも世界的な潮流になっている。
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