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2005.05.20

表現の自由重視への回帰の動きか?

<修正と加筆2005/05/21>
<千乃正法判決へのLINK2005/06/10>

メディア規制の流れが変わりつつあるのでしょうか?

メディア上で反論可能な著名人に対し、
名誉毀損やプライバシーを緩やかに認め、かつ高額賠償という流れは不可解かつ不合理ですので、この流れは歓迎です。

キス写真転載で中田英の請求棄却…東京高裁
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キス写真転載で中田英の請求棄却…東京高裁

 別の雑誌に載った女優とのキス写真を転載した「週刊現代」の記事でプライバシーや肖像権を侵害されたとして、プロサッカーの中田英寿選手が発行元の講談社などに1200万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審で、東京高裁は18日、「記事の公益性に照らせば、相当でないとまでは言えない」として、120万円の支払いを命じた一審判決を取り消し、同選手の請求を棄却した。

 判決によると、週刊現代の平成15年9月20日号で、雑誌「ブブカ」が掲載した女優宮沢りえさんとのキス写真をめぐり、中田選手側が訴訟を起こす可能性について報じ、この写真を転載した。

ZAKZAK 2005/05/19


なお最近、反動的になりつつある東京地裁より、東京高裁のほうが、表現の自由への回帰の流れが顕著ですので、東京地裁も少しは東京高裁の考え方を受け入れるべきです。

たとえば最近、東京地裁において、「理由付けの点」で不可能をメディアに要求する無茶苦茶な判決すら出ています。

読売新聞 2005年05月13日(金)

白装束集団巡る記事で名誉毀損、文芸春秋に賠償命令

 週刊文春の記事で名誉を傷つけられたとして、宗教団体「千乃正法(ちのしょうほう)会」(東京都渋谷区)と千乃裕子会長が、発行元の文芸春秋に対し、計4000万円の損害賠償などを求めた訴訟の判決が13日、東京地裁であった。
 市川正巳裁判長は「記事の内容を真実だとする十分な理由がなく、名誉を傷つけた」と述べ、文芸春秋に200万円の支払いを命じた。

 問題となったのは、同誌2003年5月15日号と同6月19日号の記事で、1998年2月に香川県坂出市で起きた高圧送電鉄塔倒壊事件に、同会が関与している可能性が高いと報じた。

このケースでは可能性があると報じた記事について(この点は東京地裁も認定した前提事実です)、東京地裁は、「同事件を実行した可能性があることを立証しただけでは足りず、被告は、鉄塔事件を実行したことを立証すべきである」などと、具体的に事件に関与したという証明が必要であると断じています。

しかしこれでは表現の自由は死滅するのではないでしょうか?「可能性がある」と報じただけで名誉毀損となるなら、捜査機関の動きなどから、政治家の汚職の可能性を報じることも不可能でしょう。

このあたりはメディアリテラシー(読む側の能力)の観点から考えればよいだけで、「可能性」を報じただけなら、
「可能性」を証明するだけで十分ではないでしょうか?読む側はその程度のものと読むだけだからです。

個人の告発サイトについて、一審で公益性を否定した日本平和神軍事件グロービート・ジャパン=ラーメン花月)の東京地裁民事第1審判決(5月25日午後1時10分、高裁判決が出ます)も問題ですが、この判決は、行き過ぎた「メディア規制」の流れのさいたる判決だろうと思います。

なお日本平和神軍事件の刑事事件の第1回公判は、今のところ、本年6月27日午後1時30分から午後1杯となっています。インターネット上の表現の自由をかんがえるうえで、きわめて重要な事件ですので、ぜひ傍聴していただくと助かります。(でもまた延期されるかもしれません)。


判決文→
http://courtdomino2.courts.go.jp/kshanrei.nsf/$DefaultView/8EEDC2165AF0C5984925701200177173?OpenDocument

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名誉毀損」カテゴリの記事

コメント

第9回コンピュータ犯罪に関する白浜シンポジウムに参加してきました。
今回は「匿名性を考える」だったのですが、見事に賛成反対が並立してしまいました。

ま、素人の集まりとは言えないので、賛成・反対のそれぞれの立場の方々もそれなりの根拠を持っての主張であるわけですが、ある一面を切り取った時に「賛成・反対」ということであって、絶対悪といったことではありません。

しかし、トレンドとして例えば匿名制の擁護の方に向かうのか?といったことについても中立的である、という印象でした。

つまり、匿名問題についても揺り戻しの真っ最中である、とは言えると思います。

わたし個人としてはマスコミとネットワークとの関係についてもっと理解を深める必要があるのかな?と感じるところがありました。

2ちゃんねるのひろゆき氏が来たこともあって「信用出来るマスコミ vs ウソばかりのネットワーク」的な話が出てきていささか驚きました。

さらに問題なのは、ネットワーク犯罪問題について、技術上・法律上・学問上の専門家あるいは興味を持って継続的に接している人が、白浜と湯沢で同じメンツであるということで「500人くらいですかね?」と聞いたところ「そんなに居ないでしょうここの参加者(300人)ぐらい」というのが平均的なご意見でした。

さらにわたしのように特に法律的・技術的に専門ではないけど現場経験は豊富だぞという人になると、それこそ片手の世界になってしまって、今後の子どもたちへの教育問題なども含めて考えると、なんか統一した戦略が必要ではないか、と強く感じる次第でした。

blog について「blog 終焉」とか「匿名での誹謗中傷の元」とかいった議論がありますが、白浜に参加した人たちの平均的な意見は「将来への不安」の方が問題で現状については揺り戻しも含めてそうそう極端な方向に進行する危惧は感じない、といったところのようです。

いくつか違和感を持ちましたので、コメントします。
(1)東京地裁判決

http://courtdomino2.courts.go.jp/kshanrei.nsf/$DefaultView/8EEDC2165AF0C5984925701200177173?OpenDocument

は、それほど"表現の自由を軽視する"判決とは思いません。公共性も公益目的も認めています。また、真実性の立証対象について、「伝えられる情報の内容,例えば,国会議員の職務上の犯罪の疑い等の事実については,もっと早い段階で世間の目に触れることが民主社会の維持のために望ましい場合もあり得る。そのような調整は,犯罪に関する事実摘示であっても,その相手方が公務員か,公的存在か,私人か,職務上の犯罪か否か等によって,相当の理由の判断において必要とされる立証の程度を調整する方法により達成することができるものと解される」と述べており、公職公務員の職務犯罪に対する報道への配慮もされています。「可能性」では足りないとされたのは、可能性に藉口して犯人決めつけ報道をして責任逃れをすることを封じるためです。また、仮に関与が真実であることが立証できなかったとしても、相当な取材を行っていれば、相当性で免責されうのですから、捜査官の駄話程度を根拠にして、犯人呼ばわりを甘受すべき理由はないでしょう。
(2)メディアリテラシーの問題というのも、議論のすり替えのように思います。文春程度の週刊誌が言う話だから、読者も話半分に聞いているさ、ということなのでしょうか。氏の議論でいくと、いい加減な根拠で犯人扱いを常習的に行えば行うほど、読者の信頼も失うことになるから、名誉毀損が成立しなくなるというのは、どうにもおかしいでしょう。
(3)「メディア上で反論可能」とありますが、プライバシー侵害について、反論可能性を理由に否定するのは疑問です。「キスしていない」って反論するんですか? 事実だから暴露されたら困るのではないでしょうか。もっとも、著名人だから損害が高額っていうのは、私もおかしいと思います。
(4)サッカー選手のキス写真については、FLASHは、「この写真を掲載したことで提訴するのはいかがなものか」とサッカー選手を批判する記事で引用したものなので、やや特殊事情があるかなと思います。

ハイパーリンク修正いただきありがとうございました。m(_ _)m。

calwestcoastさん、こんばんは。ヤプログ! サーバー落ちのようです…。

以前、 http://yaplog.jp/lawyaz-klub

にカキコしていただいたwestcoastさんですよね?

私も、隣人加藤諦三から境界線確定の裁判で訴えられています。でも、お金を払わされたり(親戚の大工)、違法建築し放題。脅迫めいた、270万や217万の請求書を送ってきたり嫌がらせばかりされているのでブログで公表してしまいました。ブログ「戦う母の1年」と題して公表しました。区も取り壊せといってますが壊そうとしません。
真実なのですが、やはり名誉毀損になるのでしょうか?有名な人なのでこちらの言い分は信じてもらえない事が多く、実際の違法建築の画像も添付しております。その時は全てを持って戦うつもりですが。

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