ブログ更新!奈良 楓ちゃん事件に思う =2013年2月21日ブログ更新!犯人に今日死刑執行 #児童虐待 #死刑
※このブログは2004年12月31日にアップしたものです。歴史的なものですので、本文の訂正はありません。そのまま残してあります。なお楓ちゃん事件について、本日2013年2月21日に、犯人に死刑が執行されました※1ので、その内容を、このブログの末尾に、※1と※2で、記述してあります。
僕の提言から10年が経とうとする今となっても、日本の法制が縦割り法制となっていて、今だに行政、国政やほとんどの地方自治体に生かされていないこと、子ども視点になっていないことを大変、憂えています。
児童虐待問題について、縦割りでない、子どもの視点からの、行政改革・制度改革が、急務です。
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昨日2004年12月30日、今年2004年11月に発生した小学校1年生の楓ちゃん(7)殺害事件の犯人だと思われる人物が逮捕されたようです。被害者、そして御遺族の立場から、この事件の真相が解明されていくことを強く望みます。
ところで僕は、今回の、女児を生きたままおぼれさせ、死後に歯を抜くなどの殺害方法から、今回の事件が、動物虐待事案と大差ない事件でないかと考えています。
そしてこの事件を、単に、児童に対する特殊な殺害事件、あるいは変質者の事件と考えると、今後のこの種の事件への対処につき、日本は、大きく事案の真相を誤るのではないかと考えます。
神戸の酒鬼薔薇(さかきばら)事件でも、児童への殺傷の前に、動物への虐待の兆候があり、動物虐待の延長線上に事件がおきています。
加害者は、小学校6年の土師(はせ)の淳(じゅん)君(11歳)の首を切り、小学校4年の山下彩花(あやか)ちゃん(10歳)の頭をハンマーで殴っています。彩花ちゃんは脳挫傷で1週間後に死亡しています。
今年9月に、栃木県県南児童相談所管内で発生した児童2人の殺害事件の殺害方法も、一斗ちゃん(4)、隼人ちゃん(3)を、あたかも動物を投げ捨てるかのように、川に投げ捨てるという殺害方法がとられており、これまでの児童虐待の範疇からは、とらえられない事案です。
僕の所属する第二東京弁護士会が、本年5月8日に行った110番は、「いじめ・体罰・虐待110番」と命名していますが、子どもの福祉、人権の観点、あるいは子どもへの暴力と言う視点から見ると、家庭内における児童虐待、学校内におけるいじめや体罰、不登校などの問題が、すべて同根の問題であることを明確に示しています。
これをもっと大きな視点で見ると、本来、児童虐待は、どこでなされてもだめではないかと考えられます。つまり家庭においても、学校においても、路上においても、絶対に許されないものだということです。
ちなみに、米国における実際に起訴された最初の児童虐待事件は、1874年のMary Ellen事件ですが、当時は児童を保護する法律がなかったため、虐待を行った被疑者は、動物虐待防止法に基づいて起訴されています。
つまり日本では、同じ児童虐待の問題が、虐待、いじめ、不登校問題、体罰、犯罪などと名前を変え、厚生労働省、文部科学省、警察庁と縦割りになっていること自体が問題であり、どのように取り繕うとも、今日の児童虐待の増加や、いじめの陰湿化、児童に向けた犯罪の残虐化などを考えると、現行の縦割り政策の失敗は否定できないし、児童虐待防止法の改正などの弥縫策では、もう是正は無理のところまで来ていると思います。
日本のこの分野の法制は、既に遅れているというほかありません。
動物虐待が許されない以上に、児童虐待は本来許されないことは明白です。
ところが動物虐待は、どこで犯しても犯罪なのに、児童虐待は、TPOによって、犯罪の類型が異なっています。非常に奇異な法制がしかれています。
すなわち「いじめ」「児童虐待」「不登校」「児童に対する犯罪」などの問題が同根でつながっていることは明らかですから、政府は、子どもに向けられたすべての暴力が犯罪であるという事実を、厳然と告知し、すぐに縦割り的な法制をやめ、整合性ある政策をとるべきです。
そうしなければ、社会がこの問題に防波堤をきづくことはできないと思います。子どもの1年は大人の10年です。貴重です。早期に対策をとるべき時がきています。
※1楓ちゃんを殺害した小林薫死刑囚(44)に対して、今日2013年2月21日、死刑判決が下されました。
平成16年に奈良市で小学1年生の女の子を誘拐し殺害した罪で死刑が確定していた小林薫死刑囚ら死刑囚3人に、死刑が執行されました。今の安倍政権が発足してから死刑が執行されたのは初めてです。
法務省によりますと、谷垣法務大臣は3人の死刑囚の刑の執行を命じ、21日午前、死刑が執行されました。
死刑が執行されたのは、平成16年、奈良市で下校途中だった小学1年生の女の子を連れ去って殺害し、殺人などの罪で死刑が確定した小林薫死刑囚(44)、平成20年、茨城県土浦市のJRの駅などで通行人らを包丁やナイフで切りつけ、会社員の男性を殺害したほか7人に重軽傷を負わせ、殺人などの罪で死刑が確定した金川真大死刑囚(29)、平成14年、名古屋市で飲食店の女性経営者を殺害し、現金およそ8000円を奪ったとして強盗殺人の罪で死刑が確定した加納惠喜死刑囚(62)の3人です。
死刑が執行されたのは去年9月以来で、今の安倍政権が発足してからは初めてとなります。
谷垣法務大臣は記者会見し「いずれの事件も身勝手な理由から被害者の尊い人命を奪った極めて残忍な事案であり、被害者や遺族にとって無念この上ない事件だ。いずれも裁判所において十分な審議を経たうえで最終的に死刑が確定した事実を踏まえ、慎重な検討を加えたうえで死刑の執行を命じた」と述べました。
3人の死刑囚と裁判
小林薫死刑囚は、平成16年に、奈良市で当時小学1年生の女の子を下校途中に連れ去って殺害した罪に問われました。
1審の奈良地方裁判所は平成18年に「殺害後、母親に遺体の写真をメールで送りつけるなど冷酷で非人間的な犯行だ。何の落ち度もない幼い女の子が殺害されたことなどを考えると、被害者が1人であっても極刑を避けるべきではない」と指摘して死刑を言い渡しました。
弁護士は「立ち直りの可能性があり死刑は重すぎる」として控訴していましたが、本人が控訴を取り下げて死刑が確定しました。
その後、平成20年に小林死刑囚は「女の子に睡眠薬を飲ませたら、風呂に入っておぼれただけで殺すつもりはなかった」などと主張し、裁判のやり直しを求めました。
これに対して、最高裁判所は平成21年に請求を認めない決定を出していました。
金川真大死刑囚は、平成20年3月、茨城県土浦市のJR常磐線荒川沖駅で通行人などを包丁やナイフで切りつけ、1人を殺害し7人にけがをさせたとして殺人などの罪に問われました。
金川死刑囚はこのほか、この事件の4日前に別の男性を殺害した罪にも問われていました。
平成21年に1審の水戸地方裁判所で死刑判決が言い渡されたあと、弁護士の控訴を本人が取り下げて死刑が確定していました。
加納惠喜、旧姓、武藤惠喜死刑囚は、平成14年、名古屋市の飲食店で当時61歳の女性経営者を殺害し現金およそ8000円を奪ったとして、強盗殺人などの罪に問われていました。
最高裁判所は平成19年に「以前も同じように女性を殺害し、懲役15年の刑を受けていることを考えると極刑はやむをえない」と指摘し死刑が確定していました。
日弁連「容認できず」※2
3人の死刑が執行されたことについて、日弁連=日本弁護士連合会の山岸憲司会長は「今月12日に谷垣法務大臣に対し、死刑執行の停止などを求める日弁連の要請書を提出したばかりだったのに、これを無視した執行は容認することができない。強く抗議するとともに、改めて執行を停止し、死刑に関する情報を広く国民に公開して死刑制度の廃止の議論を開始することを求める」などとする声明を出しました。
死刑執行に強く抗議し、改めて死刑執行を停止し死刑廃止について全社会的議論を開始することを求める会長声明本日、東京拘置所、名古屋拘置所、大阪拘置所の各拘置所において、各1名に対する死刑の執行が行われた。自民党政権の復活後初めて、かつ3名もの死刑確定者に対する執行という極めて遺憾な事態であり、当連合会は改めて死刑執行に強く抗議する。
当連合会は、本年2月12日、谷垣法務大臣に対し、「死刑制度の廃止について全社会的議論を開始し、死刑の執行を停止するとともに、死刑えん罪事件を未然に防ぐ措置を緊急に講じることを求める要請書」を提出して、死刑制度に関する当面の検討課題について国民的議論を行うための有識者会議を設置し、死刑制度とその運用に関する情報を広く公開し、死刑制度に関する世界の情勢について調査のうえ、調査結果と議論に基づき、今後の死刑制度の在り方について結論を出すこと、そのような議論が尽くされるまでの間、すべての死刑の執行を停止すること等を求めていた。その直後、この要請を無視してなされた死刑執行は、到底容認することができない。
死刑の廃止は国際的な趨勢であり、昨年12月20日には、国連総会において、全ての死刑存続国に対し、死刑廃止を視野に執行を停止するよう求める決議が、過去最多の111か国の賛成多数で採択された。こうした状況において、死刑制度を存置し、かつ死刑の執行を繰り返す日本の姿勢は際立っており、日本政府は、国連関係機関からも繰り返し、死刑の執行を停止し、死刑制度の廃止に向けた措置をとるよう勧告を受けてきた。昨年10月31日に実施された国連人権理事会作業部会による日本の人権状況に対する第2回目の普遍的定期的審査(UPR)においても、24か国もの国が、日本の死刑制度及びその運用の変更を求めて勧告を行っており、これは、日本が抱える最大の人権問題の一つが、死刑であることを顕著に示している。
しかも、今回執行された3名のうち、2名は、自ら控訴を取り下げたことにより死刑が確定しており、国連条約機関等から繰り返し求められている必要的上訴の要請を充たしていない。また他の1名は、第一審の無期懲役刑判決が検察官の控訴によって覆されており、審理に携わった職業裁判官の間でも量刑判断が分かれた事案である。谷垣法務大臣は、死刑制度の運用に当たっては「十分慎重に考える」旨表明してきたが、就任してから僅か2か月足らずで、はたして真に慎重な検討がなされたか否か、大いに疑問である。
当連合会は、今回の死刑執行に対し強く抗議するとともに、改めて死刑執行を停止し、死刑に関する情報を広く国民に公開し、法務省に有識者会議を設置する等の方策をとることによって、死刑制度の廃止について全社会的議論を直ちに開始することを求めるものである。
2013年(平成25年)2月21日
日本弁護士連合会
会長 山岸 憲司
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