カテゴリー「名誉毀損」の2件の記事

2007.01.05

「娯楽番組の抗弁」は許されない。

日ごろ「報道機関」を自負するテレビメディアは、都合が悪くなると、「娯楽番組の抗弁」を持ち出す。このような使い分けは許されないことを、この判決も明確に示している。

娯楽番組の抗弁-信じた方が悪いという理屈です。・・・・プロ側の理屈としかいいようがありません。脚色、演出、やらせ等、何でも許される番組と、報道番組を、聴取者は、容易に区別できません。


やしきさんと毎日放送に賠償命令 「番組で名誉棄損」 朝日新聞2006年12月22日

■やしきさんと毎日放送に賠償命令 「番組で名誉棄損」(下線は筆者)

 タレントのやしきたかじんさん(57)が出演した深夜番組をめぐり、女性タレントと離婚した近畿地方の50代男性が「うその発言で名誉を傷つけられた」として、やしきさんと毎日放送(MBS、大阪市)に慰謝料など2200万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が22日、大阪地裁であった。瀧華聡之裁判長は「発言に公益性はなく、男性のプライバシーに配慮せずに興味本位に取り上げており名誉を棄損した」と判断。毎日放送に対しては「編集のうえ意図的に放送した」として共同不法行為責任を認め、同社とやしきさんに連帯して330万円を支払うよう命じた。 やしきたかじんさん  やしきさんは判決後、「判決は全面的に受け入れます」との談話を出した。

 判決によると、男性は89年に女性タレントと結婚し、99年に離婚した。やしきさんはこの離婚について、05年10月18日深夜に毎日放送が放送した公開収録の娯楽番組「たかじんONE MAN」で、「別れるときは大変やった。最高裁までいった」「男が絶対別れへん言うた」などと発言。番組編集で放送されなかったが、54人の観覧者の前で男性のことを「ストーカー」と呼んだ。

 判決は、やしきさんが「男運の悪いのはダレグランプリ」と題した番組のコーナーで、私人である男性について女性タレントから直接聞いた事実として発言したと指摘。「番組を見た視聴者に発言が真実であり、男性が円満な交際や家庭生活に不向きな人物という印象を抱かせた」と述べ、男性の社会的評価を低下させたことを認めた。

 被告側は、発言のうち「最高裁までいった」との部分については事実でないと認めたうえで、「フィクションや脚色などを加えて面白く見せる娯楽番組での発言は、報道番組と違って名誉棄損の許容範囲は広い」と主張した。これに対し、判決は「視聴者が娯楽番組の内容のすべてを虚偽だとは考えていない」として退け、番組を編集して放送した毎日放送の共同責任も認定した。

 そのうえで損害額について、男性の家族が周囲に「(男性は)ストーカーみたい」と言われた▽発言に公益性がない▽やしきさんの所属事務所に出演料100万円が支払われた――などと指摘し、330万円が相当と判断した。

 男性の代理人弁護士は「判決は、視聴率のためなら何を言ってもいいという傾向がある娯楽番組に歯止めをかけるのではないか」と話している。

 毎日放送の話 名誉棄損の指摘を真摯(しんし)に受け止め、公人や芸能人でない人の名誉やプライバシーにいっそう配慮をした番組制作につとめる。

[参考]
毎日放送、控訴せず たかじんさん発言名誉棄損訴訟(2007/1/5)

やしきさんと毎日放送に賠償命令 「番組で名誉棄損」(2006/12/22)

〈関西ニュース〉「放送しない勇気も」 たかじんさん敗訴で在阪テレビ局(2006/(12/22)

たかじんさん言い過ぎ? 娯楽番組での発言、法廷論争に(2006/12/19)

・放送法3条の2
 放送事業者は、テレビジョン放送による国内放送の放送番組の編集に当たつては、特別な事業計画によるものを除くほか、教養番組又は教育番組並びに報道番組及び娯楽番組を設け、放送番組の相互の間の調和を保つようにしなければならない


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2005.05.20

表現の自由重視への回帰の動きか?

<修正と加筆2005/05/21>
<千乃正法判決へのLINK2005/06/10>

メディア規制の流れが変わりつつあるのでしょうか?

メディア上で反論可能な著名人に対し、
名誉毀損やプライバシーを緩やかに認め、かつ高額賠償という流れは不可解かつ不合理ですので、この流れは歓迎です。

キス写真転載で中田英の請求棄却…東京高裁
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キス写真転載で中田英の請求棄却…東京高裁

 別の雑誌に載った女優とのキス写真を転載した「週刊現代」の記事でプライバシーや肖像権を侵害されたとして、プロサッカーの中田英寿選手が発行元の講談社などに1200万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審で、東京高裁は18日、「記事の公益性に照らせば、相当でないとまでは言えない」として、120万円の支払いを命じた一審判決を取り消し、同選手の請求を棄却した。

 判決によると、週刊現代の平成15年9月20日号で、雑誌「ブブカ」が掲載した女優宮沢りえさんとのキス写真をめぐり、中田選手側が訴訟を起こす可能性について報じ、この写真を転載した。

ZAKZAK 2005/05/19


なお最近、反動的になりつつある東京地裁より、東京高裁のほうが、表現の自由への回帰の流れが顕著ですので、東京地裁も少しは東京高裁の考え方を受け入れるべきです。

たとえば最近、東京地裁において、「理由付けの点」で不可能をメディアに要求する無茶苦茶な判決すら出ています。

読売新聞 2005年05月13日(金)

白装束集団巡る記事で名誉毀損、文芸春秋に賠償命令

 週刊文春の記事で名誉を傷つけられたとして、宗教団体「千乃正法(ちのしょうほう)会」(東京都渋谷区)と千乃裕子会長が、発行元の文芸春秋に対し、計4000万円の損害賠償などを求めた訴訟の判決が13日、東京地裁であった。
 市川正巳裁判長は「記事の内容を真実だとする十分な理由がなく、名誉を傷つけた」と述べ、文芸春秋に200万円の支払いを命じた。

 問題となったのは、同誌2003年5月15日号と同6月19日号の記事で、1998年2月に香川県坂出市で起きた高圧送電鉄塔倒壊事件に、同会が関与している可能性が高いと報じた。

このケースでは可能性があると報じた記事について(この点は東京地裁も認定した前提事実です)、東京地裁は、「同事件を実行した可能性があることを立証しただけでは足りず、被告は、鉄塔事件を実行したことを立証すべきである」などと、具体的に事件に関与したという証明が必要であると断じています。

しかしこれでは表現の自由は死滅するのではないでしょうか?「可能性がある」と報じただけで名誉毀損となるなら、捜査機関の動きなどから、政治家の汚職の可能性を報じることも不可能でしょう。

このあたりはメディアリテラシー(読む側の能力)の観点から考えればよいだけで、「可能性」を報じただけなら、
「可能性」を証明するだけで十分ではないでしょうか?読む側はその程度のものと読むだけだからです。

個人の告発サイトについて、一審で公益性を否定した日本平和神軍事件グロービート・ジャパン=ラーメン花月)の東京地裁民事第1審判決(5月25日午後1時10分、高裁判決が出ます)も問題ですが、この判決は、行き過ぎた「メディア規制」の流れのさいたる判決だろうと思います。

なお日本平和神軍事件の刑事事件の第1回公判は、今のところ、本年6月27日午後1時30分から午後1杯となっています。インターネット上の表現の自由をかんがえるうえで、きわめて重要な事件ですので、ぜひ傍聴していただくと助かります。(でもまた延期されるかもしれません)。


判決文→
http://courtdomino2.courts.go.jp/kshanrei.nsf/$DefaultView/8EEDC2165AF0C5984925701200177173?OpenDocument

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