フォト

カテゴリー

« 2018年5月 | トップページ | 2018年7月 »

2018.06.18

前伊東市長の収賄容疑逮捕と大型詐欺事件「岡本クラブ事件」との関係

2018年6月18日の警視庁捜査2課による、佃弘巳・前市長(71)の収賄容疑の逮捕ですが、逮捕容疑となった伊東市が購入したホテル跡地の売買を巡る容疑ですが、このホテルの名前は、「伊東マンダリン岡本ホテル」(静岡県伊東市桜木町2-9-5)。

つまり2010年に発覚した「岡本倶楽部(クラブ)事件」(岡本ホテル事件)の舞台の一つとなったホテルです。

岡本倶楽部事件は、258億、7800人もの被害を出した「大規模消費者被害事件」です。

日本の消費者被害事件の被害規模=安愚楽牧場被害対策弁護団提供(紀藤調べ)

元指定暴力団の組員だったオーナー大東正博らは「会員権を買えば全国の系列ホテルに格安で泊まれる」とうたって200億円以上を集めましたが、11年に警視庁組織犯罪対策4課に組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)容疑で逮捕され、その後、オーナーの大東正博には懲役18年の実刑判決が出され、現在も服役中です。

2010年6月16日には、全国岡本倶楽部被害対策弁護団(弁護団長 弁護士 青木秀樹)も結成され、僕も副団長の職にあり、現在も、弁護団は被害回収を続けており、活動中です。

20100616_1_3 20100616_4_2

この岡本クラブ事件の舞台となった「伊東マンダリン岡本ホテル」が、8年の時を経て、犯罪の舞台となり、再び、伊東市民に迷惑をかけ、そして収賄のお金が捻出できるのであれば、それは本来、被害者の救済に使われてしかるべきだったことを考えると、とても腹立たしい気分で一杯です。

もし第三者委員会を、伊東市が作られるのであれば、協力したいと思っています。

参考記事:前伊東市長逮捕:清濁併せのむ剛腕 「伊東の田中角栄」 - 毎日新聞.=2018年6月16日 21時31分(最終更新 6月17日 08時33分)=以下下線は紀藤

 静岡県伊東市が購入したホテル跡地の売買を巡り、便宜を図った見返りに売り主の建設会社から現金1000万円を受け取った疑いが強まったとして、警視庁捜査2課は16日、佃弘巳・前市長(71)を収賄容疑で逮捕した。

          ◇

 警視庁捜査2課に収賄容疑で逮捕された静岡県伊東市の前市長、佃弘巳容疑者(71)は行政運営で剛腕を振るう一方、業者との癒着もささやかれていた人物だった。清濁併せのむ姿から、地元では「伊東の田中角栄」と呼ばれていた。

   地元で佃市政の業績として語られるのは、赤字続きだった市営の競輪事業を立て直したことだ。2005年に市長に就任した佃容疑者は徹底したコストカットに取り組む一方、車券の場外販売の拡充やビッグレースの誘致で集客面を改善。06年度には黒字に転換し、16年度は単年度収支で2億5000万円の利益を上げた。

   「公共工事の発注でも自ら業者との価格交渉にあたって、『ここは300万円泣いてくれ』とか、平気で値切る人だった。トップダウンで即断即決。行動力もある人だった」。佃容疑者を知る人は振り返る。

   佃容疑者は市議会議長だった父の後を継ぎ、36歳で市議に初当選した。酒は飲まないが、能弁で気さくな人柄。市議と県議を通算6期務める中で、補助金を握る国や県へのパイプを張り巡らせたのだろう。支援者には土建業者が多く集まった。

   市長に就任すると、「親しい業者にばかり発注している」との悪評が立つようになる。土建業者との宴席で「みなさんのために補正予算を組みましたから、うまく分けてください」とあいさつしたこともあるという。一方で市長選で対立候補の支援にまわった業者を罵倒するなど、「アメとムチ」を巧みに使い分けた。

   「まるで田中角栄のようだ」。人口約7万人の地方都市で、佃容疑者は元首相に重ねられるほどの権勢を誇った。

   疑惑の土地取引がなされたのは、そのころだ。

   問題となっている市中心部のホテル跡地(約4000平方メートル)には、もともと老舗の旅館が建っていた。しかし伊東市ではバブル崩壊後の景気低迷で宿泊客も減少。経営が悪化する宿泊施設が相次いだ。この旅館も何度か所有者を変えた後、09年には東京の不動産会社の所有となり、建物は「伊東マンダリン岡本ホテル」という名前で営業を始めた。

 この不動産会社の実質的なオーナーらが、後に「岡本ホテル事件」として知られる巨額詐欺事件を起こすことになる。元指定暴力団の組員だったオーナーらは「会員権を買えば全国の系列ホテルに格安で泊まれる」とうたって200億円以上を集めたが、11年に警視庁組織犯罪対策4課に組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)容疑で逮捕された。伊東マンダリンも「詐欺の道具」にされた格好で、事件後に閉館した。

  地元では「やくざの影もちらつく、手の出しにくい物件」とされていたが、14年10月に強制競売に出されると、贈賄容疑が持たれている地元の建設会社「東和開発」が約5000万円で落札した。更地とされた後の翌15年7月には、伊東市が「生涯学習施設を建設する」として、約2億500万円でこの土地を買い上げた。佃容疑者は自ら業者との価格交渉に当たるなど、土地取引を主導していたという。

  地元市議は「解体費用を1億としても、建設会社には数千万円の利益が出たはず。転売益が賄賂の原資となったのではないか」と話す。

  ただ買い上げた土地は「塩漬け状態」が続いている。生涯学習施設の建設計画は進んでおらず、現在は更地のまま市の臨時駐車場となっている。「土地の取得ありきだったのではないか」。議会は疑惑の目を向けていた。

  佃容疑者は4選をかけた昨年5月の市長選には出馬しなかった。本人は「市政が充実してきたから」と説明したが、元市職員は「3期目の選挙は870票の僅差。次の選挙には勝てないと踏んだのだろう」と推測する。「上意下達ですぐに指示が変わる」「市長に嫌われると出世できない」。役所の内部では職員の不満が渦巻いていた。票田だった建設業界でも「干された」業者の不満が募っていたという。

  佃容疑者は退任後の昨年6月、市の特別顧問に就任した。しかし今年3月には退任した。地元では年明け以降、警視庁捜査2課が前市長を内偵捜査している、とうわさになっていた。

  佃容疑者は賄賂として現金を受け取っていたのか--。

  逮捕される3日前の13日、取材に容疑を否定した上で、こう語っていた。

  「2億7000万円と評価された土地を(2億500万円に)値切ったのは自分だ。もし賄賂を取るなら、価格は高い方がいいはずでしょ。ふかせばふかすほど取れるんだから」【五十嵐朋子、佐久間一輝】


(日本経済新聞)岡本ホテルグループ会社元社長に懲役5年 東京地裁判決(2013/6/26)

(日本経済新聞)岡本ホテル事件、実質オーナーに懲役18年 東京地裁判決(2013/5/30)


2018.06.09

ついに法律用語となった「霊感」商法。「霊感商法」を規制する消費者契約法改正案が成立

2018年6月8日(金)は、霊感商法の救済に長年携わる者として、忘れられない日となった。

実は、日本の法律に、史上初めて、「霊感」という文字が入り、「霊感」がついに法律用語となった。

6月8日の参議院で、前回一致で可決され成立した消費者契約法の改正案がそれで、消費者契約法4条3項に追加する形で、

「当該消費者に対し、霊感その他の合理的に実証することが困難な特別な能力による知見として、そのままでは当該消費者に重大な不利益を与える事態が生ずる旨を示してその不安をあおり、当該消費者契約を締結することにより確実にその重大な不利益を回避することができる旨を告げること。」(以降も含めて、下線はすべて紀藤)

という条文が加えられた。

マスコミでは、今回の消費者契約法の改正で、霊感商法の問題はほとんど報じられず、もっぱら「デート商法契約の取り消しが可能に」、という文脈で大きく報道されていることもあり、今回、僕の方で、「霊感」という文字が加えられた経過について、簡単ではあるが、解説を加えることにした。

参考※デート商法の契約、取り消し可に 改正消費者契約法成立=朝日新聞 2018年6月9日14時16分

従来の消費者契約法4条3項は、

「消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対して次に掲げる行為をしたことにより困惑し、それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。」としつつも、次の2つの類型以外の困惑取り消しを認めてこなかった。

「一 当該事業者に対し、当該消費者が、その住居又はその業務を行っている場所から退去すべき旨の意思を示したにもかかわらず、それらの場所から退去しないこと。

二 当該事業者が当該消費者契約の締結について勧誘をしている場所から当該消費者が退去する旨の意思を示したにもかかわらず、その場所から当該消費者を退去させないこと。」

つまり「1 出て行ってくれない業者」、「2 消費者を軟禁状態にする業者」という乱暴な業者に対する規制である。


今回これに、当初の政府提案の法律案では、消費者契約法4条3項に、次の4類型が加えられることになった。

「同条第3項に次の四号を加える。

三 当該消費者が、社会生活上の経験が乏しいことから、次に掲げる事項に対する願望の実現に過大な不安を抱いていることを知りながら、その不安をあおり、裏付けとなる合理的な根拠がある場合その他の正当な理由がある場合でないのに、物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものが当該願望を実現するために必要である旨を告げること。

 イ 進学、就職、結婚、生計その他の社会生活上の重要な事項

 ロ 容姿、体型その他の身体の特徴又は状況に関する重要な事項

四 当該消費者が、社会生活上の経験が乏しいことから、当該消費者契約の締結について勧誘を行う者に対して恋愛感情その他の好意の感情を抱き、かつ、当該勧誘を行う者も当該消費者に対して同様の感情を抱いているものと誤信していることを知りながら、これに乗じ、当該消費者契約を締結しなければ当該勧誘を行う者との関係が破綻することになる旨を告げること。

五 当該消費者が当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をする前に、当該消費者契約を締結したならば負うこととなる義務の内容の全部又は一部を実施し、その実施前の原状の回復を著しく困難にすること。

六 前号に掲げるもののほか、当該消費者が当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をする前に、当該事業者が調査、情報の提供、物品の調達その他の当該消費者契約の締結を目指した事業活動を実施した場合において、当該事業活動が当該消費者からの特別の求めに応じたものであったことその他の取引上の社会通念に照らして正当な理由がある場合でないのに、当該事業活動が当該消費者のために特に実施したものである旨及び当該事業活動の実施により生じた損失の補償を請求する旨を告げること。」

以上の条文は、難しい条文なので、本来は解説が必要だが、この稿は、「霊感」に対する解説であることもあり、政府提案として、所轄官庁の消費者庁が、そのHPに、解説図(=PDF)を公開しているので、こちらを見て頂きたいと思う。

ところが、この政府提案の「社会生活上の経験が乏しいことから」という文言が、「それでは高齢者は該当しない可能性がある」ということが問題となり、僕が所属している日本弁護士連合会や多くの消費者団体では削除を求める意見が多数提出される事態となり、大きな批判を受けることになった。

 

→※「消費者契約法の一部を改正する法律案の骨子」についての会長声明=2018年(平成30年)2月22日 日本弁護士連合会 会長 中本 和洋

この指摘を受けて、国会の質疑の中で、高齢者対策の一貫として、衆議院において議案の修正がなされ、「次のように修正する。」とし、「第四条第三項に四号を加える改正規定中「四号」を「六号」に改め、第六号を第八号とし、第五号を第七号とし、第四号の次に次の二号を加える」として、次の二つの類型が加えられることになった。

この修正により、日本の法律史上初めて、「霊感」という言葉が、ついに、法律用語になったのである。

「五 当該消費者が、加齢又は心身の故障によりその判断力が著しく低下していることから、生計、健康その他の事項に関しその現在の生活の維持に過大な不安を抱いていることを知りながら、その不安をあおり、裏付けとなる合理的な根拠がある場合その他の正当な理由がある場合でないのに、当該消費者契約を締結しなければその現在の生活の維持が困難となる旨を告げること。」

「六 当該消費者に対し、霊感その他の合理的に実証することが困難な特別な能力による知見として、そのままでは当該消費者に重大な不利益を与える事態が生ずる旨を示してその不安をあおり、当該消費者契約を締結することにより確実にその重大な不利益を回避することができる旨を告げること。」


[参考]

衆議院HPより

提出回次:第196回議案
種類:閣法 31号
議案名:消費者契約法の一部を改正する法律案

議案審議経過

提出時法律案

修正案1:第196回提出(可決)

提案理由:「消費者契約に関する消費者と事業者との間の交渉力等の格差に鑑み、消費者の利益の擁護を図るため、事業者の行為により消費者が困惑した場合について契約の申込み又はその承諾の意思表示を取り消すことができる類型として、社会生活上の経験が乏しい消費者の不安をあおり、契約の目的となるものがその願望の実現に必要である旨を告げること等を追加する等の措置を講ずる必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。」(下線は紀藤)

参議院HPより

Reikan20180608

Reikan201806082

« 2018年5月 | トップページ | 2018年7月 »

2018年10月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      

最近のコメント

無料ブログはココログ