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2017.09.15

映画「ドラゴン・タトゥーの女」に見る「スウェーデンの裁判制度」=刑事編

 陪審制も参審制も、市民が裁判に関わる制度です。

 その定義は歴史的にも流動的ですが、現在では、ほぼ、陪審制は、個々の裁判の都度、市民が招集され、有罪無罪という裁判の根幹部分について、市民から選ばれる陪審員だけが判断できる制度とされているのに対し、参審制は、常勤の裁判官の同輩として、市民から一定の任期の間、裁判に関わるものとして、「参審員」が選ばれ、裁判官と一緒になって、有罪無罪を決める制度とされています。

 日本の裁判員制度は、2009年に導入されたものですが、個々の裁判の都度、召集されるという点では、陪審制度に近く、裁判官と一緒に有罪無罪を決めるという点では、参審制度に近いとされ、いわば両者の折衷案として採用されたものです。
 
 裁判員制度以前にも、日本でも、陪審制度が、戦前の大正デモクラシーの流れの中で導入された例があり(現在停止状態)、また現在の家庭裁判所の調停員制度や、戦後導入された検察審査会制度も、市民が司法や裁判制度に加わるものとして、陪審制や参審制類似の制度として理解されています。

 最近見た映画、「ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士」では、スウェーデンの刑事裁判のシーンが登場しますので、この映画を見る際の基礎知識として、スウェーデンの刑事裁判制度の仕組みが重要ですので、参考までに、このブログにアップしておきます。

 日本では、ハリウッド版のリメイクである「ドラゴン・タトゥーの女」(2011年)が有名ですが、実は、オリジナル映画はスウェーデンで作られ(2009年)、オリジナル版はシリーズ第3作まで作られています(以上→wiki参照)。

 その第3作にあたるのがこの「ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士」で、ドラゴン・タトゥーの女「リスベット・サランデル」(演じるのはとても魅力的な女優さんの「ノオミ・ラパス」→wiki)が、刑事裁判を受けるシーンが登場します。

ハリウッド版:

スウェーデン版:

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※以下、スウェーデンの裁判制度について

・引用:『地域政策研究』(高崎経済大学地域政策学会) 第 17 巻 第4号 2015年3月 1頁~ 17頁
ヨーロッパの参審制度、陪審制度についての一考察 ―裁判員制度を視座に―大河原眞美((おおかわら まみ))教授http://www1.tcue.ac.jp/home1/c-gakkai/kikanshi/ronbun17-4/02okawara.pdf=PDF


 スウェーデンも、陪審制と参審制の併用である。

 陪審制は、出版に関する犯罪及び表現の自由に関する犯罪に限定されている。年間の事件数は年間数件から数十件しかないため、実質的には参審制であると言ってもよいであろう。

 スウェーデンには、バイキングの時代からティング(Ting)と呼ばれる住民が参加できる立法、司法、行政を司る村落集会組織があった。部族間の土地の争いなどが起きた時には、各部族から6人ずつの代表を出して、争いを終結させる制度があった。バイキングがイギリスを侵略した時に、ティングもイギリスにもたらされ、イギリスの陪審制の基礎になったと言われている。

 スウェーデンの参審制の起源は中世までに遡ることができる。1220年頃から重大な刑事事件や相続や土地の争いなどに参審制が用いられていた。参審員の人数は12人で、当初は事件ごとに選出されていたが、14世紀頃には任期制となった。

 国王から任命された貴族裁判官と農民出身の参審員で構成されていた。16世紀半ばから17世紀半ばは、貴族裁判官がデンマーク、ロシア、ポーランドとの戦いに明け暮れていたなか、裁判は参審員のみで行われることになり、参審員の権限が拡大した。1743年の訴訟手続法が制定により都市部の参審制は廃止されたが、地方では参審制が維持されていた。

 現行の参審制は、参審員の人数が減員されている。一審は参審員3名と職業裁判官1名で、二審は参審員2名と職業裁判官3名である。

 理由は、国家の財政的負担の軽減のためである。対象事件は、1946年の訴訟手続法制定時は、地区裁判所では民事と刑事、都市裁判所では刑事事件であったが、通常の民事事件では外され、刑事事件、税金関係事件を中心とする行政事件、人事訴訟事件である。都市部の参審制が復活し、1971年には都市部と地方の参審制が統一された。参審員の任期は4年である。

 一審の地方裁判所では、裁判官1名と参審員3名で、評決が2対2の同数の場合は、被告人に有利な判断がされる。二審の高等裁判所では、裁判官3名と参審員2名である。スウェーデンの参審員は、政党からの推薦された者が多く、学歴や経済力のある高齢者が多い。参審員の政党推薦には、判決者としての独立性の観点から批判もある。参審員の個別評決権が法的に確認されたので、参審員は裁判官と対等な評決権を持ち、参審員の地位が強化された。なお、被告人には選択権がない。

 ヨーロッパにおいて、参審制度が一度も消滅したことのない国は、スウェーデンとフィンランドの2ヵ国である。

2017.09.14

最近話題の「不貞」の英語は?=法務省提供=日本法令外国語訳データベースが超便利!

1 法律用語を英語に翻訳する場合に苦労する場合があります。

その際に真っ先に参照するのが、この法務省提供:「日本法令外国語訳データベースシステム」です。

日本法令外国語訳データベースシステム

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しかも「引用、複製、転載」が基本的に自由。リンクも自由です。

「公定訳」でないと書いてありますが、法務省による翻訳ですので、事実上「公定訳」と言えるものですし、国際的にも通用するものです。

2 たとえば「弁護士法人」の英語は、legal professional corporationで、略してLPCですが、辞書検索をかけると、

即座に、

弁護士法人この用語を使用している法令
1. legal professional corporation [ この用語を使用している法令 ]

【用例】
弁護士、弁護士法人又は公証人の職務に関する債権(民法172 条1項)
Any claim regarding the duties of an attorney, a legal professional corporation, or a notary

と出てきます。

法令検索で、弁護士法を引くと、第4章の2以下が弁護士法人の規定であり、直球で次のような条文が出てきます。

第四章の二 弁護士法人

Chapter IV-2 Legal Professional Corporation

(設立等)

(Establishment, etc.)

第三十条の二 弁護士は、この章の定めるところにより、第三条に規定する業務を行うことを目的とする法人(以下「弁護士法人」という。)を設立することができる。

Article 30-2 (1) An attorney may establish a juridical person to perform the duties set forth in Article 3 (hereinafter referred to as "Legal Professional Corporation") in accordance with the provisions of this Chapter.


3 ほかにも、最近なにかと話題の「不倫」ですが、これは「法律用語」ではありませんので、辞書検索では出ません。

 実は、法律用語は「不貞な行為」(通常は「不貞行為」と呼んでいます。)です。
難しいので、辞書検索で「不貞」だけで検索してみると、

不貞な行為 [ふていなこうい]

1. unchaste act
2. act of infidelity

と出てきます。

同時に上記の見出し語が含まれている法令名一覧に

検索結果 1

•民法(第四編第五編(暫定版))

と出ます。

つまり「不貞」は、唯一、民法にだけ出てくる、法律用語なんです。

そして、リンク先の「民法(第四編第五編(暫定版)) 」を開いて、さらにページを「不貞」で検索すると、

離婚理由を定めた民法第770条がわかり、
不貞な行為」の翻訳は、民法では、「 act of unchastity;」ということがわかります。「an」という冠詞が伏せられていますので、英語がわかる人では誰でもわかるとおり、「不貞な行為」は、1個でも離婚理由になることがわかります。英語で理解すると、結構、重要なことが具体的にわかります。


第七百七十条 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。

Article 770 (1) Only in the cases stated in the following items may either husband or wife file a suit for divorce:


一 配偶者に不貞な行為があったとき。

(i) if a spouse has committed an act of unchastity;


二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。

(ii) if abandoned by a spouse in bad faith;


三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。

(iii) if it is not clear whether a spouse is dead or alive for not less than three years;


四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。

(iv) if a spouse is suffering from severe mental illness and there is no prospect of recovery; or


五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

(v) if there is any other grave cause making it difficult to continue the marriage.


2 裁判所は、前項第一号から第四号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。

(2) A court may dismiss a suit for divorce if it finds continuing the marriage reasonable taking into account all circumstances, even in the case where there is a cause listed in items (i) to (iv) inclusive of the preceding paragraph.


4 以上、とっても便利なので、一般に広く知られた方がよいと思いますので、紹介しておきます。


・「日本法令外国語訳データベースシステム」 の説明
日本法令外国語訳データベースシステム - 法令検索 - [法令データについて]

 この「日本法令外国語訳データベースシステム」に掲載しているデータは、利用規約に従い、引用し、複製し又は転載して差し支えありません。なお、これらの翻訳は公定訳ではありません。法的効力を有するのは日本語の法令自体であり、翻訳はあくまでその理解を助けるための参考資料です。このページの利用に伴って発生した問題について、一切の責任を負いかねますので、法律上の問題に関しては、官報に掲載された日本語の法令を参照してください。

 なお、法令名に(暫定版)と表示されているデータは、ネイティブや法令翻訳専門家によるチェック及び修正前のデータであり、今後、修正される場合があります。


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