2014年1月23日 検察審査会が東電を批判する議決を公表 NHKニュースより=今なら映像が見れます。 #東日本大震災 #原発事故 #安愚楽
今回の議決の存在こそが、検察官の起訴権独占の弊害を除去するために、市民目線の検察審査会が必要とされる理由です。
司法の民主化は、1起訴→2裁判→3矯正という3点で必要ですが、裁判員制度は2にかかる改革、1にかかる改革である検察審査会の制度は、実は、戦前、司法(つまり職業政治家が独占する「司法」)が、治安維持法による反対意見を持つ市民の弾圧に手を貸し、それが侵略戦争という暴走につながったという反省から、戦後すぐの昭和23年7月に始まり、既に60年以上の歴史があります。
小沢一郎衆院議員に対する強制起訴が、結果、無罪となったことで、検察審査会に対する、安易な批判が繰り返されましたが、検察審査会は、必要な制度です。
国家公務員であり、かつ職業法律家である検察官だけが起訴不起訴を決める起訴独占主義は、あまりにも弊害が多いです。
我が国史上最大の消費者被害である安愚楽牧場についても、検察官は、詐欺による起訴が見送られましがた、市民感覚からあまりにも遊離するその結果に、多くの被害者は憤っており、各地で検察審査会への申立てが相次いでおり、既に埼玉、兵庫、大阪、栃木と、4つの申立てがなされています。
私が弁護団長をつとめる安愚楽牧場被害対策弁護団でも、2月には、検察審査会への申立てすべく、現在、準備中です。
裁判員同様、検察審査会の議決は、市民から選ばれた11人の審査委員が決めます。
今回の東電に対する議決には、
「記録する機械の更新を長期間先送りするなどコスト削減を重視しすぎたのではないか」
「地震を全く想定していないような危機管理態勢や経営姿勢に重大な過失があったと認めるべきだ」
「刑事責任は問えないと判断せざるをえないとしても、原子力発電に携わる社会的責任の重さを認識すべきだ」
という異例の指摘が盛り込まれています。
刑事記録を直接見て、判断した、これらの市民の指摘は、今回の原発事故の原因を考えるうえでも、あまりにも重要です。
この議決を行った今回の検察審査委員だけでなく、この議決を引き出した告発人らにも、大きく敬意を表します。
今回の「福島第一原発事故で法人としての東京電力は、地震発生後に発電所内で発せられた警報の内容を記録していなかったとして、原子炉規制法違反の疑いでの刑事告発」は、刑事事件での立件は見送られる結果となりましたが、実は、民事事件の損害賠償では、事故が、重過失か軽過失か、あるいは無過失で起きたのかは、慰謝料の額に大きく影響があります。
市民目線の検察審査会が、まさに必要とされる理由です。
[参考]=いずれも下線は筆者
・検察審査会が東電批判する議決 NHKニュース 1月24日 21時38分
福島第一原子力発電所の事故を巡り、刑事告発された法人としての東京電力を検察が不起訴としたことについて、検察審査会が「不起訴は妥当だ」とする一方で東京電力の危機管理態勢や経営姿勢を厳しく批判する議決をしました。
福島第一原発事故で法人としての東京電力は、地震発生後に発電所内で発せられた警報の内容を記録していなかったとして、原子炉規制法違反の疑いで刑事告発されましたが、検察は去年9月、不起訴としました。
これについて東京第一検察審査会は23日、「地震で記録用紙が外れるなどしたのが原因で不起訴処分は妥当だ」と議決しました。
その一方で、一般の市民が務める審査員から、「記録する機械の更新を長期間先送りするなどコスト削減を重視しすぎたのではないか」とか「地震を全く想定していないような危機管理態勢や経営姿勢に重大な過失があったと認めるべきだ」などと東京電力を批判する多くの意見が出されたことを議決の中で明らかにしました。
そのうえで東京電力に対し、「刑事責任は問えないと判断せざるをえないとしても、原子力発電に携わる社会的責任の重さを認識すべきだ」という異例の指摘をしました。
・詐欺不起訴で不服申し立て 安愚楽事件 検察審査会に栃木県弁護団 下野新聞 1月25日 朝刊
経営破綻した安愚楽牧場(那須塩原市埼玉)事件をめぐり、県被害対策弁護団は24日、元社長の三ケ尻久美子被告(69)と元役員大石勝也被告(74)が詐欺罪で不起訴(嫌疑不十分)となったのは不服として、東京検察審査会に審査を申し立て、受理された。
申立書によると、三ケ尻被告らは、2011年5月~7月、経営が行き詰まり契約しても配当ができないのに、新たな契約を勧誘するチラシを県内の男女2人に送付し、出資金計150万円をだまし取った、としている。
「畜産事業の実態がある」とした東京地検の不起訴理由について、申立書では「本来保有すべき繁殖牛の頭数が不足していたのは明らか。畜産事業の実態があるから詐欺は難しいというのは飛躍」などと指摘している。
同弁護団事務局の服部有弁護士は「詐欺罪であるのは明らかだ。厳罰な処分を求めたい」と話している。同弁護団は13年7月、三ケ尻被告ら旧経営陣3人を詐欺容疑で刑事告訴したが、東京地検は同年10月、不起訴処分とした。
全国被害対策弁護団によると、検察審査会への審査申し立ては埼玉、兵庫、大阪の各被害対策弁護団に続き、本県で4カ所目
・全国の検察審査会一覧表より
東京地裁管内
庁名 | 郵便番号 | 住所 | 電話番号 |
---|---|---|---|
東京第一検察審査会 | 100-8920 | 東京都千代田区霞が関1-1-4(東京高等・地方・簡易裁判所合同庁舎内) | 03-3581-2859 |
東京第二検察審査会 | 100-8920 | 東京都千代田区霞が関1-1-4(東京高等・地方・簡易裁判所合同庁舎内) | 03-3581-2860 |
東京第三検察審査会 | 100-8920 | 東京都千代田区霞が関1-1-4(東京高等・地方・簡易裁判所合同庁舎内) | 03-3581-2874 |
東京第四検察審査会 | 100-8920 | 東京都千代田区霞が関1-1-4(東京高等・地方・簡易裁判所合同庁舎内) | 03-3581-2879 |
東京第五検察審査会 | 100-8920 | 東京都千代田区霞が関1-1-4(東京高等・地方・簡易裁判所合同庁舎内) | 03-3581-2878 |
東京第六検察審査会 | 100-8920 | 東京都千代田区霞が関1-1-4(東京高等・地方・簡易裁判所合同庁舎内) | 03-3581-2918 |
立川検察審査会 | 190-8571 | 東京都立川市緑町10-4(東京地方裁判所立川支部庁舎内) | 042-845-0292 |
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