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2012.07.12

安易な値上げは許さない!!>本日2012年7月12日:日本弁護士連合会:東京電力値上げ申請についての会長声明 #東京電力 #東電 #原発 #fukushima #tepco

日本弁護士連合会│Japan Federation of Bar Associations:東京電力値上げ申請についての会長声明 2012年7月12日

 東京電力が行っていた家庭用電気料金の10.28%の値上げを求める申請について、本年7月5日、経済産業省の「電気料金審査専門委員会」(以下「経産省委員会」という。)は、枝野経済産業大臣に、値上げ幅を1ポイント程度圧縮することを求める報告書を提出した。また、これと併行して内閣府消費者委員会及び消費者庁においても、本件値上げの申請の妥当性についてそれぞれ審査が行われてきたが、7月10日、消費者委員会が意見を取りまとめた。消費者委員会の意見では、経産省委員会がまとめた査定の基準(一般電気事業供給約款料金審査要領)、人件費、競争入札、購入電力料、減価償却費及び事業報酬、福島第一原発安定化費用及び賠償対応費用について、更なる見直しを求め、今後の課題を提起している。

 この消費者委員会の示した意見については、東京電力の置かれた実情を踏まえ、東京電力に対し更なるコスト削減を強く要求している点で高く評価できるものである。

 さて、当連合会では、今回の値上げ申請に当たって、特に東京電力が拠出するとしている特別負担金と事業報酬との関係が不明確であり、株式配当や銀行金利の支払いを従前どおり続ける前提となっていることが極めて問題であると考える。

 とりわけ、事業報酬の算定について、東京電力は、同社が有している9兆3、826億円に上る特定固定資産(発電所や送配電網など)のうち、30%分の2兆8、148億円分は株主から調達した資金によって形成したものと仮定し、年率6.32%分の1、778億円を自己資本報酬として電気料金原価に算入している。さらに、残り70%に当たる6兆5、678億円は他人資本(借金や社債)により形成したと仮定し、年率1.61%分の1、057億円を同じく他人資本報酬として原価算入し、その合計を2、815億円としている点である。

 しかしながら、前提となる資本構成比は仮定の値であり、実際の同社の自己資本比率は5.6%に過ぎない。実態に即した資本構成比を前提にした場合には、事業報酬額は、それだけで1、769億円と大幅に減額となる。

 この点については、7月8日付け朝日新聞記事において報道されているとおりであるが、東京電力はホームページにおいて、経済産業省令「一般電気事業供給約款料金算定規則」に則って算定したものと反論している。

 しかし、東京電力は、同社に大きな帰責がある原発事故に起因する賠償責任を負い、既に原子力損害賠償支援機構から、2.4兆円もの資金交付を受け、さらに1兆円の資本注入がされ、形式的に債務超過を免れているに過ぎない状況である。したがって、同社の従来株主も新株主である国も、消費者の負担増によって配当を受けることはもちろん、内部留保によって株価が上昇することを期待することはできないのであるから、東京電力においては、もともと配当と内部留保の原資として認められている自己資本報酬を原価算入する根拠を欠いているのである。

 したがって、現在の東京電力において、平時の電力料金算定ルールである上記規則に基づいて、自己資本報酬を電気料金原価に算入することは正当化できないことはいうまでもなく、消費者委員会が強く疑問を呈しているのは当然である。

 さらに、東京電力及び経済産業省は、実質的な事業報酬計上の必要性として、特別負担金の拠出を挙げている。すなわち、福島原発事故の損害賠償を国が資金交付という形で肩代わりした分を、事業報酬により得た利益で返還するという。しかし、現実には、事業報酬に相当する金額を特別負担金として拠出するといった明確なルールは、どこにも存在しない。仮に、自己資本報酬相当額の電気料金算入を認める場合には、少なくとも自己資本報酬相当額が、同社の利益に回らず、特別負担金の拠出に充てられることが明確に約束される必要があるが、この点について、消費者委員会が今後の課題として「事業報酬と資金調達コストの差分や経営努力の結果生じた原価と実績の差分については最優先で特別負担金の返済に充てられることを事前に確認し、また事後にも検証を行う」と指摘しているとおりである。しかし、現時点では東京電力及び経済産業省はその明確化を拒んでいるのであるから、自己資本報酬の電力料金原価への算入を認めることはできないことも当然である。

 最後に、他人資本報酬率についても、東京電力は、過去10年にわたり、現実に1.61%もの利息を支払った形跡がなく、さらに現状においては国の支援無くして東京電力が融資を受けることは不可能である。国の保証を前提にした利子率を前提とする1%強まで利率を圧縮すべきである。実質破たん企業である東京電力において、貸し手責任を免れた債権者の利息相当額の全額を消費者が負担する合理性は存在せず、国の保証によって利息を極小化できる以上、その範囲でしか電気料金への算入は認められない。

 当連合会は、以上の理由により、今回の値上げ申請においては、事業報酬のうち2、000億円余りについては、明らかに電気料金原価への算入を認めるべきではなく、これを考慮すれば値上げ率を更に圧縮できると考える。よって、経済産業大臣に対し、消費者委員会及び上記当連合会の指摘を十分に踏まえた上で、判断を行うことを求める。

2012年(平成24年)7月12日

日本弁護士連合会
会長 山岸 憲司


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